脳はウソをつかない:脳指紋検査
恐らくは公安や警察などで何らかしらの容疑者の取調べの際、その容疑者が “ウソをついているのか” “本当に知らないのか” を判断するのに使われる、俗っぽい言い方をすれば “嘘発見器(ポリグラフ:polygraph)” の一種。
一般的に知られているのは、被験者の
- 血圧
- 呼吸
- 心拍数
- 微量の発汗
など複数の生理反応を調べるものであったのに対し、”脳指紋(brain finger printing)” は無意識の反応を検出し、心の動きを測定するもの。
実は最近、事の成り行きでネット接続用に自分の部屋に引いたケーブルテレビで、アマゾン・プライムで視聴できる、あるアメリカの刑事ドラマでこの脳指紋という言葉を知った次第です。
この脳指紋が登場するドラマの回では容疑者は事件後の事故で四年間の昏睡から目を覚ますと同時に、自分が誰であるのかも忘れてしまった記憶喪失の状態であり、全く物的証拠がない上に唯一の目撃者も死亡した裁判で事件関係者の証言を得るのが不可能になってしまいました。
そこで、検事側は容疑者に対し、この脳指紋検査法を実施したのです。
検察側は容疑者の事件に関する記憶が完全に失ったとしても、本人の意思に関係なく容疑者が犯行を実行した事を証明できると考えたわけです。
恐らく、今日でも脳指紋検査法は法廷における科学的証拠として認められていないと考えられますが、これはTVドラマの話ではなく、実際にあった話として、1977年7月にアメリカ・アイオワ州で発生した警備員殺人事件において、テリー・ハリントンという当時17歳の男性が逮捕され、終身刑を言い渡されました。
テリー・ハリントンは終始、冤罪を主張しており、それに対してハーバード大学出身の心理学者、ローレンス・ファーウェル博士は、この脳指紋を使って、20年以上も前のテリーの冤罪を証明しようと試みたのです。
既にテリー・ハリントンは40歳になっており、20年以上も前の事件。
脳指紋とは被験者が知っている何らかの事象を示すと、被験者の意志に関わらず、脳波の波形が特別なパターンを示すという現象です。
これを犯罪の判定に使うとすれば、事件に関係する写真や場所の名前、被害者のプロフィール等を示せば、真犯人であれば自分がどんなに隠そうとしても脳というか無意識が勝手に反応してしまうということのようです。
上記のテリー・ハリントンの場合、事件に関係する物証や情報に対して、彼の脳は全く反応せず、最後は冤罪として認められ、25年ぶりに刑務所から出所しました。
この事件の真犯人は事件当時、重要な証人と供に目撃者であった別の人物であったことがその後の捜査で明らかになり、この真犯人は偽証していたことが判明したのです。
今回、脳指紋を知ったキッカケとなったアメリカのTVドラマは2007~2008年にアメリカ国内で放映されており、この回の法廷でのシーンでは、「証拠規則第702条のドーバート基準にも明示されている」と検察側は述べていることから(あくまでもドラマ中の台詞)、もしかしたら、現在のアメリカでは脳指紋検査法は一定の条件を満たせば、裁判の判決材料になっているかもしれません。
このドーバート(Daubert)基準とは実在していて、アメリカで採用されている専門家の証言の証拠能力を評価する基準のようです。
そして、私がこの脳指紋に興味を持ったもう一つの理由は、この脳指紋というものが、
- 人は忘れない。ただ思い出せないだけ
- 脳は人生に起きたことを全て記録している
という脳の性質の前提に成り立っているのではないか?という事です。
「2.」については、”全ての出来事” なのか “脳が重要だと判断したものだけ” なのか判断はつきませんが、例えばどうしても思い出せない子供の頃の出来事なんかは脳波を測定する複雑な機械など必要とせずに、NLPや催眠療法のテクニックを使えば思いだせる可能性があるかもしれないと考えた次第であります。
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