NLP:世の中の会話や文章には個人的感情を含む “断定” に満ちている

前回のエントリーでは、私たちが日常使う会話の中では “推論” に満ちている、書きましたが、これは客観的に測定や実証ができない相手の心の中の心理状態を述べる場合に多く見られます。

そして、今回は、誰もが確認可能な客観的事実について、自分勝手にラベル付けをして会話の中や何かの文章に使ってしまう “断定” という過程です。

例えば、街角で良く見かける例。

「今日は緊急特売で、どの商品も特別価格で安いよー!!」

こんな言葉につられて、実際に商品を見たら、いつもと同じ値段で、いくつかの商品に限り20~30%程度の値引きが行われているようでした。

この例の場合、NLPのメタモデルも混在していますが、本来であれば、この呼び込みは、

「今日は緊急特売で、A商品とB商品が通常より20~30%の値引きっっ!!」

というのが本来の表現なのでしょうが、これも商売なので仕方のないところもあるでしょう。

もう一つの例。

「彼はテニスが下手だ」

というのも、本来であれば、その根拠となる事実があり、それはこの言葉を述べた別の人間も、その事実を確認することが可能で、例えば、

「彼はレシーブの30%を拾い損ねる」

といった場面を具体的に表現するのが誤解を招かない方策でしょう。

このように、客観的事実の指定をしないと、例えば、このテニスの例にすれば、

A氏は 「彼はテニスが下手だ」

となり、別の場面を見ていたB氏は、

「彼はテニスが上手い」

ということで、下手をしたら喧嘩に発展するかもしれません。

また、この “断定” というものには語り手や書き手が述べている出来事や人物に対して、無意識的に自分の “好き” “嫌い” という嗜好が混入しているケースが多く見られるようです。

上記のテニスの例で言えば、A氏はテニス選手に対してあまり良い感情を持っていないかもしれませんし、逆にB氏は好意的と考えられそうです。

もう一つの “断定” の例

男女のカップルで、男性が女性側に何か記念のプレゼントを贈ろうと言い、その当日、実際にはそのプレゼントは持ってこなかったとします。

こうした場合、男性側が何と言い訳しようと、女性側は、

「彼は嘘をついた」

と表現するケースが殆どでしょう。

たまたま持ってくるのを忘れてしまったことに対して、

「彼は忘れっぽい」

とどちらかといえば好意的な表現をする場合はまずないかと思います。

これは新聞の表題の例です。

「反トランプ」世界でデモ 就任翌日、数百万人が抗議 米首都、女性大行進

(2017.1.22 10:21 http://www.sankei.com/world/news/170122/wor1701220029-n1.html より)

恐らく、これを書いた記者はトランプ大統領に対して批判的な気持ちでいるのでしょう

今回のような “断定” の例を見てみると、私達は人間として言葉を扱っていることから、一見客観的に事実を述べているようであっても、そこには無意識的に個人の感情が混じるケースが多く、相手の話す内容を注意深く聞くことにより、相手も気付いていない心の内面についての情報を得られる可能性があります。

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