NLPから見たEMDR

トラウマやPTSDの迅速治療としてはフランシス・シャピロ博士が開発したEMDR(眼球運動による脱感作と体験の再処理)が有名ですが、実は眼球運動が心の状態に与える研究はNLPの開発当初でも行われていました。

NLPのセミナー等に参加して実際に沢山のスキルを演習しますが、意外にも体全体や体の一部を動かすスキルは少ないことに気付くかもしれませんし、その傾向は特にクラッシック・コードのNLPに顕著だと考えられます。

このような流れの中で、NLPの開発者の一人であるジョン・グリンダーは人の身体の左右の運動を意識したエクササイズを取り入れることにより、同時に心の問題を処理することを目指し、身近な例で言えば “ジャグリング” の活用を推奨し、最終的には、彼独自の”ニューコード・ゲーム” を考案することになります。

その他にも、”コア・トランスフォーメーション” の開発者であるアンドレアス夫妻もNLPのスキルの中にEMDRと同様な眼球運動を取り入れ、クライアントはトレーナーの指先が上下左右と自由に動くのを眼球で追い続けながら、それと同時にクライアントが解決したいと思っている問題の情景をイメージすることを指示するようにしていますが、これはEMDRの手法そのものです。

シャピロ博士によりEMDRが開発されたのは今から20~30年前の事でもある一方、日本国内では現在でもなかなか普及していないようですし、その名前すら知らない事が多いのは残不思議な事とも言えるかもしれません。

ジャグリングやニュコード・ゲームなどを実際に体験すると、体を上手く動かそうとするために頭すなわち、意識の部分は非常に混乱します。

そんな時に同時に解決したい問題をイメージすることにより、その記憶が保存されている脳の神経システムが活性化され、今までは望ましくない感情と共に存在していた記憶が再処理されることにより、クライアントの心的な問題が解消するのではないかと考えられていますが、今までのところは、その明確で理論的な説明はなされていないようです。

シャピロ博士もNLPの存在や様々なスキルについては知っているようですが、彼女自身はEMDRが効果を示す機構とNLPのそれとでは異なるものという認識があるようです。

私達の日常で、この効果を得たいとすれば例えば何かしらのトレーニングマシン(数値で運動量が示されるのが好ましい)を利用する方法があるかもしれません。

何も考えずにガムシャラにマシンを利用すれば、かなりの数値が得られるでしょうが、その最中に一度でも好ましくない記憶を思い出してそれに対し少しでも意識を向けると、たちまちのうちに目の前のマシンが表示する数値は低下することになるでしょう。

こうして、体全体あるいは体の一部を動かしながらも一方では記憶を思い出す、という方法も日常で取り入れられる方法の一つかもしれません。

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