NLP:アンカーつぶしによる不安症の解消

NLPは開発当初、PTSDの迅速解決に適用され、実際に臨床家が驚くほどの実績を残してきました。

その後、様々な心理的な用途が開発され、現在では、原因不明な不安症にも利用できるテクニックもあるようです。

NLPのスキルの中に、(恐らくは)どの団体でも教えるであろう「アンカリング」というものがあります。

簡単に言うと、クライアントの望ましい・リソースフルな状況(殆どが過去の体験・思い出)を身体の特定動作に埋め込み、その動作を行うことにより、いつでも・どこでも自分を絶好調な状況を作り出せるという便利なスキルです。

“アンカーつぶし”というのは、このような身体と心の関係を逆用し、原因が不明であってもクライアントを襲う不安感をアンカリングによって、好ましい状態に塗り替えてしまおう、というテクニックです。

例えば、以下は海外著名NLPトレーナーの実施例の一例です。

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ケイは学校で行われる数学の試験の際に自分を常に襲う不安感の問題を解決してほしいと依頼してきた。

例えば、同じ学校の試験項目である生物の場合は何も問題を生じないが、こと数学の試験になると途方もなく大きな不安感にかられ、過去にはこのおかげで何度か落第点もとってしまったという。

ケイ自身は原因らしきものは思い出せないのであるが、数学の試験の何らかがこの不安感にアンカーされていてようだと考えているようだ。

私はケイに対してアンカリングを使ってこの問題を解決することを伝え、手順を説明した。

先ず、両手のそれぞれでゲンコツを作ってください。

そのゲンコツを私が手で押さえます。

片方のゲンコツには数学の試験を受ける時をアンカーし、もう片方のゲンコツには、自信とリソースフルな状況をつくる為のアンカーとします。

両手それぞれのゲンコツの設定が完了したら、2つのゲンコツを同時に押さえ、大脳の中で2つが結合できるようにします。

そうすることで自信とリソースフルな心理的状態が数学の試験に反射的かつ無意識的に数学の試験と結びつのです。

ケイは最初、信じられないというような表情であったが、兎に角チャレンジするとには積極的であった。

まずは、好ましい状況のアンカーから始めた。

ケイに過去の体験や思い出の中に、揺ぎ無い自信を感じた時のことを思い出してもらい、単に思い出すだけではなく、五感をフルに使って、その時の経験を「再び(まさに)体験」するように指示した。

そうして、実際にケイがリソースフルな状況になってくると、次第にケイの声のトーン・姿勢・呼吸等の身体的の変化が観察された。

このような変化が認められたら認められたら(正確には認められる寸前に)ケイのゲンコツを手で握り、好ましい心理状況を丹念にアンカリングした。

次はもう片方のゲンコツだ。

ケイに残り一方の手にゲンコツが作ってあることを確認し、数学の試験を受けるシーンを感じてもらった。

すると、ケイにたちまち変化が起こり、身体は緊張し声は震えを帯び始めた。

そして、この状況を同様にこのゲンコツにアンカーした後、ケイに試験のシーンを消すように指示した。

この時点では、片方の手のゲンコツには自信に満ちた状態、もう片方の手のゲンコツには問題となる状況がアンカーリングされていることになる。

ここで、この2つのゲンコツを「同時に」押さえて、ケイに変化が出てくるのを待った。

暫くするとケイの瞳が揺らめき、身体全体がリラックスしていくことが観察された。

さらに、その後数秒間、ゲンコツを押さえ続けた。

ここで、ケイに尋ねてみた。

(トレーナー)

それでは、再びさっきの数学の試験のことを思い出してみましょう。

(ケイ)

ん?どうだったのかな?あまりよく思い出せない。
ただ、何となく変わったという感じはします。

ケイが次の月曜日に数学の試験だというので、その結果を報告してもらうように依頼したところ、連絡があり、「生まれて初めて試験中はリラックスできて、楽しく問題が解けた」との事。

この例の注目するところは、クライアント自身が問題を自力で解決できたということだ。

ケイの脳は数学の試験中にリラックスする方法も、自信を持つ方法も既に知っていた、ということである。

今回のケイの場合はリラックスして自信が溢れている状況を神経学的に統合してやるだけあった。

アンカー潰しは数あるNLPの中で非常に簡便な方法であるにも関わらず、

  • 恐怖症
  • 脅迫神経症
  • 不安症
  • 学習障害
  • 不眠
  • 抑うつ

等、広い範囲に適用でき、実際に結果を出したテクニックだ。

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アンカリングのスキルは講習会の比較的初期段階で練習する、比較的シンプルなものであるにも関わらず、非常にパワフルなものであると言えるかもしれません。

上記の例は、数学の試験というある意味特殊な状況でしたが、一般的・日常的な適用例としては、

  • 大事なプレゼンテーション
  • 大人数を前にしたスピーチや音楽の演奏
  • 何らかしらの面接

などの場面で、緊張して、頭の中がマッ白になってしまう人には、このスキルがまさにそのまま適用可能でしょう。

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