EMDRセラピーの具体的な手順・やり方 (1)
EMDRというとあの独特な指を動かすシーンを思い浮かべる場合が多いですが、EMDRの開発者であるシャピロ博士が推奨するセラピーでは、実際には8つのステップから構成される単なる一ステップでしかありません。
その具体的な手順をステップごとにかいつまんで以下に書きます。
ソースは、こちら。
PDFファイルとして表示されるので、手元のパソコンやスマートフォンにダウンロードできます。
トップページを拝見すると、どうやらカリフォルニア州のサン・ラファエルで個人運営しているセラピストのようです。
- 最初のセッションでは、クライアントの過去の歴史やこれから行われるセラピーの全体像についてクライアントと共にディスカッションする。
このディスカッションの中で、具体的に何をEMDRのターゲットとするかを明確にする。
具体的なターゲットの例としては、- クライアントを悩ませている行動・感情・過去の出来事
- クライアントが持っている不適切な価値観・信念(例:「私は誰も信じることが出来ない」「私は無力だ」)
などが挙げられるかもしれない。
- EMDRのセラピーを始める前に、クライアントとって「安心を感じられるもの」をクライアント自身で準備してもらう。
それはクライアントのイメージであったり、具体的な記憶など。
この「安心を感じられるもの」はEMDRのセラピーを開始して、セッションが上手くいかなかった場合、上記のターゲットに対するクライアントの耐性を強化するのに使うことが出来る。実際の眼球動作を行う前に、クライアントにセラピーのターゲットとなる「一場面」を特定してもらう(NC)。
この「一場面」はそのターゲットに関連したものであり、この「一場面」に意識を向けると確実にクライアントが不快な感覚・感情を有するものである。
同時に、クライアントにとって望ましいモノ・状態を定める(PC)。
すなわち、「セラピーが完了したら、どんな自分あるいは状態になりたいか?」という、ある意味「クライアントにとってのセラピーのゴール」のようなもの。 - 次に実際の眼球動作を行う。
眼球動作の開始と共に、クライアントに上記「NC」に意識を向けるように指示する。
一通り眼球動作を終えた後、セラピストはクライアントの心の中にどんなものが沸き上がってきたか簡単に伝えてもらう。
具体的には- 思考
- 感情
- 肉体的な感覚
- イメージ
- 過去の記憶
- 上記以外のセッション前と何かしら変化したもの
が挙げられるでしょう。
- 次に、クライアントに対して、上記の「PC」をイメージしてもらう。
もしかしたら、このPCはEMDRのセッションが進むにつれて、セッションを通じて始めのモノとは異なるものかもしれない。
その場合には、クライアントに最初のPCと同時に、この新しいPCを利用する。クライアントにこれらのPC(複数かもしれない)に意識を向けてもらい眼球運動のセッション再び開始する。
- 一通りの眼球運動の行われた後、クライアントに現在の状態がどうなっているかを上記のSUDSの数字で答えてもらう。
- セラピストはクライアントに肉体的な痛み・ストレス・不快感を感じているかを報告してもらう。
- セラピストは適宜、適切なサポートや情報をクライアントに提供する。
- 次回のセッションを開始するにあたり、前回のセッションとの間の日常生活に中で、何か感情や体験に変化があったか?
あるいは、その間にSUDSの値に変化はあったか?をクライアントにレビューしてもらう。
次に、セラピストはクライアントに対して、上記の「沸き上がってきたモノ」に意識を向けるように指示して、新たに眼球動作を行う。
ただし、これはケース・バイ・ケースで、再び「NC」に意識を向けて眼球動作を行う場合もある。
セッションが重なるにつれ、セラピストはクライアントに対して、現在の状態がどの程度改善されたかを「SUDS」に従って報告してもらう。
このSUDSのレベルが’0’もしくは’1’になった時点で、EMDRによる「脱感作」のフェーズが終了したことになる。
「SUDS」
詳しい解説は、Wikiに「Subjective units of distress scale」として解説があります。
クライアント感じている漠然とした状態を、あえて数値化してそれをレベル化したもの
。。。以上
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