言葉は同時に1つだけ、そして順番にしか処理できない
言語処理を考える際に、言語とは表題にあるように、同時に複数の内容を処理することは出来ない、という性質により、その人のビリーフ(信念・価値観)や、無意識に持っている想念のようなものを推定する事が可能になります。
ヒトの「口」という器官は1つしかないため、同時に複数の言葉を発することは出来ません。
例えば、以下の4つの文章を見てみます。
- プロ野球のA選手が女性アナウンサーのBさんと結婚をした
- 女性アナウンサーのBさんがプロ野球のA選手と結婚をした
- 女性アナウンサーのBさんとプロ野球のA選手が結婚をした
- プロ野球のA選手と女性アナウンサーのBさんが結婚をした
以上の内容は、全く同じ内容を記述していますが、その順番が微妙に異なります。
NLP開発者の言葉に、「クライアントの話の内容に気をとられるな。言葉のパターンに注目しろ」というものがあります。
その言葉のパターンに注目すると、「1.」の文章は、話している人は無意識に、「プロ野球のA選手」に焦点を当てていると思われます。
もしかしたら、前後の会話のパターンから、A選手のファンであるかもしれません。
同様に、「2.」の場合は、話している人は女性アナウンサーに興味を持っていると考えられます。
2人が「結婚をした」という「内容」だけに焦点を当ててしまうと、多くの場合、このような隠れた情報の存在に気付かないでしょう。
大概の場合、人というものは複数の内容を語る場合、重要なものから順番に話していくと考えられているからです。
また、「3.」と「4.」の文章は、一見、「プロ野球のA選手」と「女性アナウンサーのBさん」を同列に扱っているように見えますが、やはり、微妙に順番が異なり、上記同様、「3.」では「女性アナウンサーのBさん」、「4.」では、「プロ野球のA選手」に重点を置いていると感がられます。
このように、言葉というものは、視覚や聴覚とは異なり、「口」という器官から発せられものから、どうしても「順番に一つずつ」処理していかざるを得ないことから、その処理された順番を解析する事により、人間の無意識に持つパターンというものを把握することが出来ると考えられます。
以上のことは、読書にも当てはまり、人は読書時に意識はしませんが、「黙読」という言葉があるように、頭の中で知らず知らずのうちに「読んで」いる事に気付くかもしれません。
このことから、読書というものは、通常「本の最初から」とか「ページの最初から」順番に処理せざるを得なく、どうしても時間が掛かるということになってしまいます。
これとは全く原理が異なる読書法が、「頭の中で読まない」方法で、一部の速読法とか、フォトリーディングであると言えるでしょう。
以上のような言葉の性質を認知言語学では、言語に内在する「線状性」という単語で説明します。
話す場合にしても、書く場合にしても、複数の事柄は個々の要素を順番に並べていかなければならず、同時に2つの言葉を発したり書いたりできず、その順番に隠れた意図が見られる場合もあります。
このことから、簡単な心理テストとして、「あなたの好きなモノ(食べ物等)を5つあげて下さい」という問いに、相手が答えを発したら、一番最初に挙げたモノが、その人の一番好きなモノである可能性が高いと言えるでしょう。
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