NLP的思考法:第三の選択肢は常に存在していると心に留めておく
学校の理科の実験室で2人の生徒が言い争っている。
一人の生徒は窓を開けたいし、もう一方の生徒は窓を閉めたい、ということらしい。
2人の生徒はどのくらい実験室の窓を開けておくかで暫く前から言い争っているが、なかなか埒があかない。
そこに、理科の教師が実験室に入ってきた。
教師は、一方の生徒に何故、窓を開けたいのか尋ねた。
「新鮮な空気が欲しいからです」と生徒は答えた。
次に、もう一方の生徒に何故閉めたいのか尋ねた。
「風が当たりたくないからです」という答え。
暫くの間、教師は考えた後、実験室の隣の部屋に行き、その部屋の窓を全開にした。
こうして、風にあたることなく新鮮な空気が実験室に入り、2人の生徒は満足した。
一個のオレンジの分け方について2人の姉妹が喧嘩をしていた。
最終的には、そのオレンジを2つに分けることで折り合いがついた。
そして、2つに分けたオレンジを姉はその中身だけを食べて皮は捨ててしまった。
一方、妹の方は、オレンジの皮をケーキ作りの材料にしたかったので、皮だけ残して、中身は捨ててしまった。
NLPのスキルの中にメタモデルというものがあり、人間の言語処理においては、常に、
- 省略
- 削除
- 歪曲
が生じているとしています。
あるいは、NLPに限定せずに、広く心理学的な立場で考えると、ヒトの言語処理(「考える」という行為も頭の中で言語処理を行っている)には、否応なく様々な「バイアス」が掛かっていると言えるかもしれません。
この「人間心理のバイアス」というものに特に注視しているのが、行動経済学の分野とも言えるでしょう。
このことは、心理学の問題に限らず、日常的な家庭や社会で、何か問題が生じた場合、それを解決する方法として大概のケースで二者択一となることが多い事に繋がるかもしれません。
即ち、
- 「イエス」か「ノー」か
- 「自分が勝つ」か「相手が勝つ」か
- 「白」か「黒」か
などです。
これは、とあるNLPのセミナーで講師の方が言っていましたが、例えば、
- 「自分が勝つ」か「相手が勝つ」かの場合、「双方が納得できる落しどころを探る」
- 「白」か「黒」かの場合、「グレー」の解決策を採用する
というのは、所謂、「妥協」と呼ばれるもののようです。
「妥協の産物」と言われるように、このような解決方法は、両者にとってある程度の譲歩を受け入れざるをえなく、多くの場合、不満な部分は必ず残るでしょう。
ここで、「第三の選択肢は常に存在している」という前提を念頭において問題に対処すれば、誰もがハッピーとなる、思いもよらない解決策が思いつく可能性があります。
人は何かの問題点に対処するにあたり、多くの場合、その「原因」に焦点をあてがちですが、「解決策」に焦点をあてるのがコツの一つかもしれません。
視点を変えれば、「原因」に焦点を当てるのは、「過去」に焦点をあてていることになり、その原因を取り除けば問題は解決される、という前提が見え隠れしています。
一方の「解決策」に焦点を当てるのが、「解決志向アプローチ(SFA:ソリューションフォーカストアプローチ)」と呼ばれる手法です。
長くなるので、ここでは端折りますが、例えば、
- フランス(かどこかの国)のとある工場で働く従業員が、製造ラインで保護用メガネをしないことが問題となっていた。
- 工場の管理者は様々な対策を実施したが、全くといってよいほど効果はなかった。
- ここに、解決志向アプローチのコンサルタントが工場に派遣されてきた。
- このコンサルタントは、今までの経緯については殆ど無視し、工場の管理者に一つの質問をした。
「あなた方の “ゴール” は何ですか?」 - その後、管理者の一人が、解決策の1つとして、誰もが思わず掛けたくなるような「カッコイイ」デザインの保護メガネを作ることを提案。
- 他の管理者は鼻で笑ったが、コンサルタントは「それいいですね。やってみましょう。」とその方法を支持した。
- 結果として、保護用メガネの着用率は劇的に向上した。
というようなエピソードがあったことを思い出します。
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