認知言語学とNLP (3)

同一の話の内容であっても、客観的事実が同じである場合、認知言語学では、「真理条件的意味が同じ」と言います。

一方、NLPは多くの部分で「言葉」を扱うスキル・テクニックが数多くあり、この認知言語学の考え方を応用すると、ある意味、読心術的な技を展開することが出来る場面があります。

これは、人間が話す言葉と言うものは、通常、無意識の部分で処理されるものであり、その言葉のパターンを注意深く観察すると、その人の心の深層部分にある情報を得ることがあるかもしれません。

例えば、とあるパーティーの会場で、グループで歓談している中、初めて顔を合わせる一人のメンバーが、

「ウチの部署の同期が、今度、名古屋から東京に転勤になっちゃってネ~。。。」

という言葉を発した場合、その人は、名古屋に勤めているか、あるいは、住んでいる可能性が高いと考えられます。

逆に、

「ウチの部署の同期が、今度、転勤で名古屋から東京に来ることになってネ~。。。」

という発言であれば、今度は、東京に住んでいるか、勤めているかの可能性が高いでしょう。

この2つの文章は、「発言者の同期が転勤で名古屋から東京に異動となった」という真理条件的意味が同じですが、会話のパターンに注目して、その人の視点がどちらに焦点を当てているかを解析する事により、その人に関するある程度の情報が得られるでしょう。

本人は無意識で発言しているので、あとで、「あなたは、名古屋にお住まいなのですか?」と尋ねると、「えっ、どうして分かるのですか」とビックリするかもしれません。

今度は別の例です。

例えば、毎年正月恒例の箱根駅伝でのアナウンサーの発言で、

  1. 第4区で、ついにA大学がB大学に追いついた
  2. 第4区で、ついにB大学がA大学に追いつかれた

と2つのパターンのどちらかで放送したとします。

上の2つの発言は、「第4区で、A大学とB大学が肩を並べた」という同じ真理条件的意味ですが、「1.」の場合は、アナウンサーは無意識の中で、A大学を応援していると推察されます。

逆に、「2.」のパターンでは、アナウンサーはB大学を応援している可能性が高いでしょう。

一番分かり易いのは、例えば、オリンピックの水泳競技が挙げられるかもしれません。

この場合、アナウンサーは当然、出場している日本の選手を応援しているので、その選手が一位でなくとも、何位であっても、トップが誰であろうと、ひたすら日本選手を中心に実況中継をするでしょう。

このように、言葉というものは、通常の場合、無意識による処理によるものなので、その会話の内容を観察することにより、発言者が「何に焦点を当てているか」についての情報が得られる場合が多いと考えられます。

そして、その情報をカウンセリングやコーチングに活用できるかもしれません。

このように、言語学というものは単なる学問ではなく、現実の社会に応用できる面もあるとも考えられます。

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