NLPと認知言語学 (1)

NLPには様々なスキルがありますが、「言語の取り扱い」に関するものも数多くあります。

それは、クラッシック・コードNLPにしてもニューコードNLPにしても、ヒトの無意識を取り扱うことから起因しているとも考えられます。

「言葉」は、例えば、呼吸や目の瞬きと同様、特に意識しなくても問題なく日常生活の中でこなされていますが、一方では、あえて意識することにより、意図的にコントロールすることが出来ます。

そして、それは、「言葉」にも当てはまると言えるかもしれません。

普段の生活の中で、それを職業としている人は別として、特別意識して言葉を使っている、といったケースは非常に稀である一方、その言葉の使い方・パターンを解析することにより、その人の無意識下の情報を探ることが出来るようになります。

NLPのトレーナーが、カウンセリングやコーチングの際に、

「相手が話している “内容” にではなく、会話の”パターンや構造” にフォーカスしろ」

とアドバイスするのも、これに起因しているとも考えられます。

丁度、釣り人が、浮(うき)をつけた釣竿で釣りをするのと似ており、釣り人は、水面下の魚の様子は直接には分かりませんが、水面に浮いている浮の動きを観察することにより、魚の動きを知ることが出来ることに似ているでしょう。

そして、言葉は、この浮に相当するとも言えるかもしれません。

さて、NLPが言葉を重要視していることから、NLPのバックグラウンドとして、言語学の存在があり、その中でも、チョムスキー (Noam Chomsky) の提唱した「生成文法」の概念は中身は知らずとも、名前くらいはどこかで聞いたかもしれないでしょう。

そして、言語学の分野は、心理学と同様、この「生成文法」の他にも様々な流派があり、その一つとして、「認知言語学」というものがあります。

この生成文法と認知言語学は同じ言語学という分野でありながら、言葉に対してかなり違う見方をします。

  • 生成文法

    生成文法では、私たち人間は生まれてから短期間のうちに(3~4才頃)までに1つの言語を習得することができ、かつ、どのような言語であっても、子供が耳にするのは、その言語の文法に沿った正しい言語ではなく、日常会話等の非常に劣悪な言語データです。

    「ブーブー」とか「ワンワン」というものは、「車」や「犬」にであるということは、かなり成長してから知ることになります。

    このような言語環境の中で、子供がやがては自由に言語を駆使できる能力を身につけるとは考え難く、この世に生まれてくる時に既に、言語を習得するための何らかの知識・システムを持っているという考え方です。

    そして、この種の、ある意味先天的な知識のことを、「言語獲得装置」「普遍文法」と呼びました。

    次に述べる認知言語学と異なる点は、ヒトがある言語を習得するにあたり、その言語が使われている社会の中で経験というものよりも、生まれながらにして有している言語獲得システムについて、それが一体、どのようなものであるか探求することに注力してきました。

  • 認知言語学

    認知言語学では、私たちがある言語を習得し、自由かつ適切に使いこなせるには、その社会や文化における経験を通しての学習も重要である、という立場をとっています。

    このような、言語習得の過程における経験を重視する考え方を「経験基盤主義」と呼ぶ場合があります。

    また、人間の認知能力や身体的特性が言語に非常に大きな影響を与えていると考えている一派もいたり等、人間のモノの見方というものを土台とした言語研究が認知言語学と言えます。

    簡単な例を挙げると、飛行機が着陸する時に、「滑走路が近づいてきた」、とても綺麗な浜辺に出かけた時、「まるで吸い込まれそうな青い海だった」など、日本語としては文法的にも正しい日本語ですが、よ~く考えたり、客観的に見ると、チョットおかしい表現とも考えられます。(海が人間を吸い込む筈はない)

生成文法にしても、認知言語学にしても、1つの学問としてみた場合、参考書を見ても非常に難解で、正直にいうと、何を言っているのかサッパリ分かりませんでしたが、認知言語学の場合、理論そのものよりも、書籍中に出てくる例文が、非常に興味深く、あるものは催眠の文章に使えそうだったり、また別の上記の釣竿の浮のように、クライアントの無意識下の情報を取り出すヒントになりそうな文例があり、結構、役立ちそうです。

例えば、最後に簡単な例を。。。

  1. 猫の右隣にハムスターがいる
  2. ハムスターの左隣に猫がいる
  3. ソファーの上に猫とハムスターがいる

上記、3つの文章は、客観的には全く同じ状況を描写していますが、

「1.」の文章は、描写した人の無意識はハムスターにフォーカスしている。また、ソファーは全く意識されていない

「2.」の文章は、描写した人の無意識は猫にフォーカスしている。また、ソファーは全く意識されていない

「3.」の文章は、描写した人の無意識はハムスターと猫とさらに、ソファーにもフォーカスしている。

また、上記の描写の中には、猫・ハムスター・ソファーが登場する訳ですが、本来であれば、その他にも、様々なモノ(部屋の様子や家具等)や情報がある筈です。

そして、その省略・削除された情報を思い出させる、あるいは、言語化するプロセスが催眠療法であったり、NLPのメタモデルのセッションということになるでしょう。

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