NLP:言語表現における魔法の数字「3」
「無意識は3個以上の事柄は”沢山・いっぱい”と理解する」
今回の動画は、NLPや催眠とは全く関係のない、純粋な英語学習のための動画です。
この動画の英語レッスンは、「英語を母国語としない学生(ESL)」向けのレッスンですので、ある程度慣れてくれば、非常に綺麗な発音で聞き取り易いと思います。
従いまして、英語アレルギーの方は無理に見なくても構いませんが、言葉の使い方のテクニック、言葉の持つパワー等の実例としては、興味ある内容であるという見方も出来るでしょう。
「Improve your English with the “Magic of 3″」
講師の人が、最初に例として取り上げている、古代ローマの時代のジュリアス・シーザーの名言
「来た、見た、勝った(I came, I saw, I conquered.)」
あるいは、オバマ大統領の就任演説の際の
‘ We have a responsibility to ourselves, our nation, and our world. ‘
「私達は自分自身、自分の国家、そして、世界に対して責任を持っている」
には、とある言語表現のテクニックが隠されています。
また、オバマ大統領の例の場合、動画の講師の人は全く知らないでしょうが、この短い文章だけでもエリクソン催眠のテクニックが盛り込まれています。
それについては、後述。
あと、動画には登場しませんが、リンカーン大統領の名セリフ
「人民の、人民による、人民のための政府」
(government of the people, by the people, for the people)
も今回の例にあたるでしょう。
ざっくりと端的に言うと、相手の印象に残る会話をしたい場合には、
- 実例は3個
- 話す時にはリズミカルな表現で
- 表現の仕方も統一する
といったところです。
次に実生活でこの考え方を活用しようとする場合、例えば、面接等で「あなたの趣味は何ですか?」と尋ねられた場合、
「読書です」
と実際には、いろいろな趣味を持っているいるにも関わらず、一言だけで済ませる場合が多いでしょう。
ここで、
「読書と旅行です」
と2つ挙げると、多少は効果的かもしれません。
そして、一番パワフルな応答は、
「読書、旅行とあとは映画鑑賞です」
と3つ挙げることです。
4つ以上挙げる必要はありません。
いろいろな趣味を持っていて、長々と自分の趣味を列挙してもよいかもしれませんが、面接の場合は時間の制約、自己紹介文等の文章の場合はスペースに限りがあるのが現実です。
最小の手間で最大の効果を発揮するのは「3つ」であり、3つ挙げれば、ヒトの無意識は「この人は多趣味だ」と認識してくれるようです。
あと、ここで重要なポイントとなるのは、3項目を列挙するときには、その文法的な表現を統一するということのようです。
上記例の場合、
- 読書
- 旅行
- 映画鑑賞
は全て「名詞」です。
別の例を示すと、動画の中に出てくる
The job requires hard work, long hours and organizational skills.
「この仕事には、ハードな行動と、長い時間、そして、組織を統率するスキルが必要だ」
の場合、
- hard work
- long hours
- organizational skills
は3つとも、
「形容詞」+「名詞」
という表現で統一されています。
あとは、最初に挙げたリンカーン大統領のセリフ
「人民の、人民による、人民のための政府」
(’ government of the people, by the people, for the people ‘)
は、3つの表現が全て、「前置詞+名詞」となっています。
このように3つの表現の形式を統一することにより、表現の中に一種の「リズム感」を生み出し、最終的には、受け手の記憶に残りやすいパワフルな表現になると考えられます。
さて、上記で既述した、オバマ大統領の
‘ We have a responsibility to ourthelves, our nation, our world. ‘
「私達は自分自身、自分の国家、そして、世界に対して責任を持っている」
は、こんな短い文章の中にも、NLPのミルトン・モデル的な要素を含んでいると書きましたが、以下の2点が挙げられると思います。
- 表現の順番が
自分自身
↓
国家
↓
世界
と徐々に範囲が広がってきている
- 責任(responsibility)の具体的な内容が曖昧である
という点です。
ここでは、この短い文章のコンテクストは不明ですが、このフレーズの後に、「そして(And)~」という順接詞を用いて、相手の無意識に届けたい内容を無理やりにでも続けて相手に語ることにより、立派なエリクソン催眠のテクニックとなるでしょう。
以前の記事「海外の有名政治家が使う大衆を説得するスピーチのテク」でも書きましたが、
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「THREE-PART LISTS(3つの言葉)」
内容が似通った言葉を3つ(マジック・ナンバー)続けて羅列する。
最初の2つの内容は皆が納得できる、あるいは達成が容易な内容にして、それに引きづられる形で最後に話す内容を強調する。
「教育・教育・教育」(1997年・英国ブレア首相)
“Education, education, education”
あとは、出典は不明ですが、
「ここでも、そしてまわりでも、そして、どこででも」
“here, there and everywhere”
も同じ目的の言い回しのようです。
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にも見られるように、海外におけるスピーチというものは、その場で、行き当たりばったりの思いつきで話すのではなく、綿密に心理学的な効果が計算された、プロのスピーチライターによるものだと言えるかもしれません。
そして、プロのスピーチ・ライターに頼らなくても、NLPの知識を持っていれば、非常に効果的なスピーチ、あるいは、作文が可能となるでしょう。
簡単な一例をを挙げれば、
あるセンテンスを「過去形」で表現するのか、「現在形」で表現するか
で、相手(一人~多数)に対して強力な暗示のメッセージを送ることが可能になります。
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