地図は領土ではない
「一般意味論 (アルフレッド・コージブスキー)の世界」
NLPの開発に大きな影響を与えたとされているコージブスキー「一般意味論」。
そして、恐らくはどのNLPの団体でも解説される、NLPの前提の一つが
「地図は領土ではない」
というものでしょう。
私の場合、初めてこの文章を聞いた時には、その意味が全く分からなかったのですが、だんだん分かってくると、このフレーズは以下のようにも言い換えることが出来るかもしれません。
- 料理のレシピは料理そのものではない
- 楽譜は音楽そのものでない
- メディアが報じるニュースは、事実の全てを伝えてはいない
- 建物の設計図は出来上がった建物そのものではない
等です。
あるいは、逆に混乱してしまうかもしれませんが、上記の文章が伝えたい事は、
「言葉」と「実物・体験」とは異なる
ということです。
例えば、「たぬきそば」という単語は、実物としては何を示しているでしょうか?
同じ日本人であっても、地域により、全く異なるものを指し、具体的には、
- 東京
そばの上に天かすがのっかている。つゆは醤油ベース
- 大阪
そばの上に油揚げが乗っかっている。つゆはだしベース
というのが一般的だと予想されます。
また、「ベートーベン作曲の交響曲第○番」という曲は、ベートーベン自身はたった1つの譜面しか書いていませんが、世の中には、この同じ曲であっても、今日現在までに「××フィルハーモニー管弦楽団、指揮者△△」という様々なバージョンが実在しています。
あるいは、
「彼は嘘つきだ」
という短いフレーズにおいても、「嘘つき」の定義は人それぞれであり、場合により、ミス・コミュニケーションを引き起こす可能性があります。
このような場合、お互いの誤解を避けるには、最初に「嘘つき」の定義を明確にすることがベストでしょうが、そんなことを日常会話の中でいちいち行っていたら非効率であり、現実的ではありません。
そんな訳で、私たち人間は、ある程度の厳密性を無視して言葉を使っています。
そして、そこには、必然的に言葉の性質である、NLPのメタモデルでいうところの
- 削除
- 省略
- 歪曲
が発生します。
従って、私達が言葉を使う限り、情報の削除・省略・歪曲が発生することは、避けられない道になります。
以上のことから、以下のような興味深い実験を行うことが出来るかもしれません。
「言葉が行動を支配する」
次のような実験です。
というページを開きます。(新しいタブで開きます。終了したら開いたタブを閉じてください)
内容は指示に従って、表示される図形や文字の色を答える、という一見単純なモノですが、慣れてしまえば楽勝でしょうが、最初の1~2回はかなり難しいかもしれません。
人間は、通常、何かの行為をするにあたり、先ず、頭の中で「考え」ます。
すると、頭の中では何が起きるでしょうか?
なにはともあれ、いの一番は「考える」という行為であり、そして、この「考える」という行為には、よく自己観察すれば、言葉を使っていることが分かり、これをNLPでは「内的会話」と呼ばれています。
今回の実験で見られるように、言葉というものは、便利な存在である一方、場合によれば、人間の行動を制限する不便な面も持ち合わせているようです。
以上のような、言葉のある意味、面白い性質・機能について、学究的に難しく検討されたのが、
- コージブスキーの「一般意味論」
- ノーム・チョムスキーの「生成文法」
であり、NLPの開発においても大きな影響を及ぼしたと言われています。
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