エリクソン催眠におけるTips
引き出しの中を整理していたら、以前というより、相当昔に参加したエリクソン催眠のワークショップのノートが出てきたので、懐かしい意味も込めて、順不同にTipsのまとめ。
- メタファーの作り方
私の場合、メタファーを作る際には、古典催眠の暗示文の際にも使いますが、殆どの場合、「家」を使います。
講師が西欧の方だったので、文化人類学的な差異があるかもしれませんが、家をメタファーに使うことにより、
- 地下室・・・無意識を示す
- 屋根裏部屋・・・人生の過去、古いモノを示す
- 勉強部屋・本棚・・・知識を示す
と無意識は理解するようです。
付け加えると、
- クライアントが抱えている問題を「家」で表現するとすれば、どのようになるか考えてみる。
- そして、場合により、一軒の家ではなく、隣の家との関連の可能性があるか考慮してみる。
日本と西洋では家の構造が異なり、地下室とか屋根裏部屋などは、日本の住宅事情ではほとんどないでしょうから、例えば、
- 屋根裏部屋 → 物置・押入れ
- 地下室 → 開かずの部屋
といった具合になるかもしれません。
- エリクソン催眠のペーシングは、クライアントにとっての「絶対的な事実」から始めますが、そのペーシングのステートメントの中に、既に暗示を埋め込むのも一法。
- 非言語レベルのペーシングの例
クライアントの呼吸に合わせて、声のトーン・速さを変える
↓
催眠状態・リラックス状態になると呼吸がユックリになるので、それに合わせて、声を低くしたり、話す速度を遅くする
クライアントの「瞬き」に合わせて、例えば、机の上を指でこつこつと叩く。(間接的ペーシング)
- 人間は古いやり方にしがみついてしまったり、使いつづけたりしてしまう
↓
そのような状態になっている、肯定的な理由をクライアントに3つ挙げてもらう
↓
問題の解決には、「AかBか」の二択ではなく、それ以上の選択肢があることを無意識に暗示する
- エリクソン催眠のカウンティングは明確な形では行わない。
ストーリーの中に埋め込む形でカウンティングする。代表的古典催眠の場合、
「今から私が1~5の数を数えると・・・。それでは、1・・・、2・・・、3・・・」
エリクソン催眠の場合
「通勤電車の最初の停車駅に着くと・・・、次の駅につくと・・・、さらに次の駅では・・・」
- クライアントに暗示を埋め込む場合、
- 主語が誰か特定できる場合 → 結論はあやふやにする
- 主語が特定できない、あるいは、主語がない場合 → 結論は明確に
理由は
- 主語が誰か特定できて、結論が明確だと、クライアントの抵抗が生じる
- 主語が不特定だと、無意識は結論の内容を自分のことと理解する
(例)
You may be able to ~ :あなたは~出来るかもしれない
It is possible to ~ :~は可能だ
People can discover ~ :人々は~を発見できる
Someone could realize ~ :誰かが~を発見できる
- 講師の方が昔、とある軍隊の要請で「聞くだけで自信が溢れ出るCD」の作成を依頼されたようです。
実際、講習の会場でも実物が販売されていたので本当の事でしょう。
ただし、中身は英語です。
興味深いことに、このCDを聞くと、「自信」という言葉が一切でてきません(との事です)。
その代わり、森の中を延々と歩き続けるストーリーが語られているのです。でも、CDを聞き終わると、不思議なことに何故か「自信が出る」のです。
そのカラクリを講師の人が解説してくれました。
それは、ストーリーの最後に語られる
In some ways considering deeper sense of confidence,
(ある意味、より深い自信を感じながら)It really might be nice to consider the lives of trees.
(木々の生命について考えることは素敵なことだ)というステートメントです。
このステートメントの機能としては、それまで、延々と森の中を歩いた後で、
- ‘It really might be ~’ と主語がない文章となっている
- ‘considering’ と ‘to consider’ が韻を踏んでおり、「木」と「自信」を等価にというかイコールにしている
- 現代催眠特有のテクニックにもある、関係のない2つの内容が、強引な形で順接した形式で表現されている
といったところでしょうか?
従って、どんなに英語が得意であろうとも、母国語が日本語の人には、このCDは効果がないと考えられます。
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