NLP:「負け組み」という状態をリフレーミングする
よく世間で使われる単語である、「負け組み」。
例えば、クライアントが以下のような内容を話したとしたら、セラピストもしくはコーチはどのようなアプローチで、このクライアントの「負け組み」という状態をリフレーミングすることが可能でしょうか?
「負け組み」という言葉は日本語の文法上では「名詞」となりますが、別の視点でみると、この例では、クライアントの「状態」を示しているとも言えるでしょう。
NLP、もしくは他の心理学でも、その公理もしくは前提として、
- クライアントは自分の状態を変えることが出来る
- 自分の状態に対する意味は、いかにようにも選択可能である
というものがあるでしょう。
クライアント
「就職の際の書類選考に落ちると、いつも落ち込んでしまいます。ビジネス街で颯爽と歩いているスーツ姿の会社員を見ると、本当に自分は “負け組み” なんだ、とヒシヒシと実感します。この先の人生も “負け組” の人生を歩んでいくことを考えると絶望的な気持ちになります。」
このような思考に陥っているクライアントに対して、どのようなアプローチがあるでしょうか?
NLPの立場でいうと、クライアントは
「書類選考に落ちた」=「負け組み」
という、メタモデルの1つである、「等価の複合概念」に囚われているとも言えるかもしれません。
- メタモデル的なリフレーミング
- 一回でも書類選考に落ちると負け組みなのですか?それとも、2回?、あるいは、3回?
- 自分が負け組みであるという基準は具体的に言うと何なのですか?
- その基準を使わなければならない理由は何なのですか?
- 自分が負け組みであるということを、あなたはどのようにして知りますか?何が見えますか?、何か聞こえますか?、あるいは、どのような感覚を持ちますか?
- あなたが負け組みであるという状態を、私も正確に知りたいので、どのようにすれば、私も負け組みという状態になりますか?。その方法について、私に具体的に教えてください。
- 肯定的な意図としてのリフレーミング
「負け組み」というのは確かな認識でしょうか?
お話を伺うと、何回か書類選考に落ちたということのようですが、別の視点からですと、あなたは書類選考に落ちる度に、上手くいかない理由に関しての情報を得ていると考えられないでしょうか?
それを念頭において、新しい方法の可能性について、自由に探求できる、という考え方もできませんか?
- 内的状態のリフレーミング
書類選考に落ちた人がその場に座り込んだまま、何も動かずに愚痴や文句だけを口にして、次の挑戦に望もうとしない。
それが、私が考える「負け組み」は、このように転んだまま起きようともせず、学ばない人たちです。
あなたは、まだやってみようという思いがあり、このように、私のところに相談に来ました。
そんなあなたは、まだ、本当の「負け組み」ではないでしょう。
- 反例のリフレーミング
確かに、あなたが書類選考に落ちたのは事実でしょう。
でも、ここで、今までの自分の人生を振り返ってみてください。
例えば、学校の試験で優秀な成績を取ったり、ボランティア活動に参加して、何かしら自分が誇ることが出来る結果を出した出来事があるのではないですか?
是非、私に具体的な事例をいくつか紹介してください。
「ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質」の著者であるアメリカの投資家、ナシーム・ニコラス・タレブの言葉を借りれば、
「白鳥は白い、という事を主張するのに、100万羽の白鳥を観察しても十分でない。たった一羽の “黒い白鳥” の存在が確認されれば、その主張は否定されることになる」
上記の例は、まだまだ他にもアプローチの仕方があると思いますが、要は、クライアントが「自分は負け組みである」という堂々巡りの視野狭窄状態から引き上げて、「自分には、まだ、可能性・選択肢が残されているのだ」ということに気付かせることだと私自身としては考える次第です。
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