NLP:クライアントの「出来ない」という表現の中には、「出来る」ということの意味を含んでいる
「リフレーミングのいろいろ」
こんな会話を耳にすると、一種の禅問答のようで、なかなか面白いと思いませんか?
NLPにおけるリフレームの一種です。
クライアント
「私のこれからの人生に私自身は全く期待をもっていません」
セラピスト
「すごいですね!! “自分の人生に期待できない” ことには、もの凄く”期待している” のですね!」
クライアント
「私には全然自信がないのです。何事にも、もう少し自身を持てるようになればよいのですが。。。」
セラピスト
「すごいですね!! “自信がない” という事に対しては、もの凄く”自信を持っている” のですね!」
このように言われたクライアントは、今まで自分が持っていた物事を見る枠組み(フレーム)を違ったフレームを提示されて、思わず「あれ?」と感じるでしょう。
あるいは、こんな例もあります。
NLPの開発者であるリチャード・バンドラー氏が主催するワークショップで、こんな女性が参加していました。
彼女が言うには、キッパリと自分を主張できず、その最たる例として、とにかく「他人に対して、”ノー” と言えない」のだそうです。
そこで、バンドラー氏は、彼女に、ワークショップに参加している各人のところへ行き、相手からお願いされたことに対して、キッパリと”ノー” と言いなさい。
と指示しました。
その結果、彼女はどのような行動を取ったでしょうか?
彼女の行動の選択肢は2つあります。
- バンドラー氏の指示どおりに、参加者各人のところに行き、「ノー」と言う。
- バンドラー氏に対して、「そんなこと出来ません」と言い、「ノー」と意思表示する。
このバンドラー氏の指示は一種のダブルバインド(二重拘束・どちらを取っても正解、あるいはどちらを取っても不正解)の状態に彼女を誘導し、今まで彼女は持っておらず、彼女自身が手に入れたいと望んでいたスキルを実践せざるを得ないのです。
ここでは、日常的に観察される、相手を「説得する」「諭す」といった行為は一切見られません。
まさにNLPの視点がないと思い浮かばないアプローチの仕方でしょう。
あと、上記の例ではさらに1つのツッコミどころがあります。
彼女は、バンドラー氏の誘導で、ワークショップ会場の前方に出てくるように言い、上記の指示を受けたのですが、どうして彼女は皆の前に出てくるように言われた時に、「ノー」と言わなかったのでしょうか?
この時点で、彼女に対してプラスの暗示が働き、後に続くダブルバインドの効果がより強力に働いたのかもしれません。
もし、バンドラー氏が
「どうして、あの時、ノーと言わずに、素直に前に出てきたのですか?」
と彼女に質問したとしたら、恐らく、
「そういえば、どうしてでしょうね?」
と笑って答えたことでしょう。
付記:「ダブルバインド」
NLPの開発に大きな影響を及ぼした、文化人類学者グレゴリー・ベイトソンが唱えた説。
リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーの二人に、「アリゾナに面白い老人がいるから訪ねてごらん」と現代催眠の開発者である、ミルトン・エリクソン博士を紹介。
これをきっかけに、NLPのスキルの一つである、ミルトン・モデルが開発された。
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