睡眠:記憶力をアップする有効な方法

人間が毎日繰り返す、そして、生きていく上で必須な「眠る」という行為は、単に、肉体の疲れを癒すというだけではなく、眠っている間であっても脳は活発に活動しており、昼間、学習したことの「記憶」の定着に重要な役割を果たしているようです。

簡単な表現で言うと、

「十分な睡眠をとることにより、テストの結果は、前の晩にやったものよりも、翌朝行った方がよくなる」

というものです。

今の時代はもう分かりませんが、私達の学生時代は、テストの時期には所謂、「一夜漬け」というものがありましたし、日本人にありがちな「努力」とか「根性」とかで試験を乗り切ろうとしたものですが、睡眠に関する実験から得られた結果からは、試験の前はできるだけ十分な睡眠を取った方がパフォーマンスは良くなるとの事。

自動車の運転技能を身につけるとか、テニスが上達するとかいうものに代表される肉体的技能の向上においては、いきなり100%のレベルに達することは出来ません。

人により程度の差はありますが、時間をかけて習得していくことになります。

その過程において、検討をしてみると、睡眠後の成績は、睡眠前よりも向上していることが分かってきました。

例えば、テニスの練習において、昨日コーチから教わったことが、昨日はできなかったものの、一晩寝た後の、次の日に何故かできるようになった、という事象を経験したことがある人もいるでしょう。

1990年代に入ってからの人間の記憶に関する研究では、例えば、睡眠前のテストの成績を60%程度になるように抑えておいて、その後の睡眠により、テストの成績が伸びるかどうか調べたところ、よく眠ることにより翌朝の成績が向上する事実がさまざまな種類の記憶に起こっていることが確かめられたとの事。

記憶に関する研究において、1990年代以前においては、「睡眠による記憶の増進」という概念は全くなかったので、これらの研究結果は、非常に驚くべきものだったでしょう。

その他、記憶と睡眠についての研究結果から、記憶の増進には

  • 睡眠初期の徐波睡眠の時間が必須
  • 睡眠時間は、細切れに取るのではなく、まっまった時間(例えば、8時間以上。説によれば、8時間でも短いという学者もいる。)が必要
  • 学習あるいは練習したその日の夜にしっかり眠ることが必要。時期を逃すと、あとからいくら眠っても効果は認められない。

ということが分かってきました。

世の中には、自分が如何に睡眠時間を削ってまで勉強あるいは仕事をしているかを自慢している人もいるようですが、どうやら、科学的な研究結果な立場で言うと、全く意味のない行為と言えそうです。

人間の記憶の種類には、現時点では

  1. テニスが出来るようになる、など反復練習により習得する記憶
  2. 去年の夏休みには家族でヨーロッパに旅行に行った
  3. 単語、数字など学校や家庭で学ぶ知識

に分類され、「1.」を「手続き的記憶」、「2.」を「エピソード記憶」、そして、「3.」を「意味記憶」と呼ばれています。

そして、上記で紹介したような睡眠の効果は、手続き的記憶と意味記憶に影響を及ぼす、と言えます。

話は横に逸れますが、一般的に、「エピソード記憶」は「意味記憶」で、脳の記憶領域に蓄積されたデータベースにより「解釈(意味づけ)」され、あるいは逆に、「エピソード記憶」から新しい「意味記憶」のデータベースが構築されます。

この作業は、「脳」により「自動的」に行われるわけで、見方によれば、一種のプログラムであると定義できます。

このプロセスを意図的にプログラムし直すのが、すなわち、NLP(神経言語プログラミング)と呼ばれるスキルとなります。

例えば、「去年の夏休みには家族でヨーロッパに旅行に行った」という内容は、色づけされない完全にニュートラルな(意味を持たない)過去の体験である単なる「事実」ですが、それに「楽しい」とか「ワクワクする」といった感情的な意味づけをするのが、脳が勝手に行う処理(プログラム)ということになります。

以上は、睡眠と記憶・学習との関連についての話でしたが、当然のことながら、睡眠が肉体の生理に及ぼす影響も重要でしょう。

例を挙げると

  • 睡眠中にタンパク質合成の促進等の作用を持つ成長ホルモンが分泌される
  • 睡眠不足になると身体の免疫力が低下する。逆に言うと、ヒトの免疫システムは睡眠を促す作用を持つ

等です。

これは、私のケースですが、私の場合、年に一度はひどい風邪やインフルエンザにかかります。

そして、本当に調子の悪い時には、何もする気が起きないのは当然ですが、それに加えて、本当にこんこんと、一日中グッスリと深い眠りにつくことができます。

それは、上記の2番目の免疫システムが睡眠に影響を及ぼしていることが実感できるのです。

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