気分の持ちようでガンが治った症例 (4)
ガンの治療に関する心理学的な面からのアプローチは殆ど耳にすることはありませんが、今回の症例は結構有名なようで、物語に登場する幻のガン治療薬(ただし全く効果はない)「クレビオゼン」というキーワードで検索すると、結構の数の記述がヒットします。(Klopfer,1957,pp.337-339)
この単なる「真水」の注射によるライト氏に対する効果は、1回目の治験よりも劇的なものであった。
腫瘍は溶解し、胸部の液体は消失してライト氏は元気に歩き回れるようになり、自分で飛行機の操縦をするまでになったのである。
この時点ではライト氏はまさに健康そのものであり、水の注射は続けられたのです。
そして、その後、2ヶ月以上にわたり、彼にはガンの症状は全く認められなかった。
しかしながら、ここにきて、米国医学協会の報道がされてしまったのです。
「全国規模の臨床試験の結果、クレビオゼンはガンの治療に関して全く効果がないことが明らかになった」
この報道の数日後、ライト氏は危篤状態で再入院してきた。
幻の新薬に対する信念は消えうせ、最後の望みを絶たれた彼は、その二日後に天国へと旅立った。
このライト氏の事例は、当時の心と体の相互作用と治癒に関する様々な知見と仮説をもたらしてくれた。
今日では、ある種のガンの成長は患者の免疫系の働きを向上させることが出来れば、それによってガンを破壊することが出来る。
ライト氏の場合は、彼の免疫系が治療法に対する彼の信念によって活性化されたと予想される。
さらに、この患者が信じられないほど急激に回復したことから、彼の自律神経系と内分泌系が暗示に反応し、血管系の働きを劇的に高めて、急速に縮小するガンから生じる、毒性のある体液や老廃物を排泄することを可能にしたことも考えられる。
現在では、心理的な暗示や信念に反応して自律神経系・内分泌系・免疫系系の生物学的な活動を調整しているという仮説を指示する事例が集まってきている。
ここで知っておく必要があるのは、人間の体は臨床的に検出できるガン性の腫瘍を成長させることなく、生涯を通じて、みたところ自然なプロセスとしてガン細胞が発生していることである。
例えば、乳幼児においてさえ、ガン細胞の一形態である、神経芽細胞腫の発生率が、臨床的なガンの発生率よりもはるかに高いことからも明らかである。
また、50検体以上の男性の遺体を解剖したところ、事実上そのすべてから前立腺ガン細胞が発見されたにもかかわらず、実際にガンを発症した例は殆どなかった、という報告もある。
ヒトの体において、ガン細胞が常につくられているにもかかわらず、殆どの人がガンを発症しないというのは、からだに生まれつき備わった免疫の監視システムにより、ガン細胞が臨床的にみて、明らかな腫瘍として成長する前に、発見され破壊されるためである。
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