気分の持ちようでガンが治った症例 (2)

ガンの治療に関する心理学的な面からのアプローチは殆ど耳にすることはありませんが、今回の症例は結構有名なようで、物語に登場する幻のガン治療薬(ただし全く効果はない)「クレビオゼン」というキーワードで検索すると、結構の数の記述がヒットします。(Klopfer,1957,pp.337-339)


さて、いよいよ新薬である「クレビオゼン」がライト氏が入院している病院に到着し、医師団は臨床試験の立案に取り掛かった。

既に述べたように、ライト氏は臨床試験の被験者としての条件を満たしていなかったが、ライト氏は担当医に必死に懇願し、最終的には新薬の投与を受ける運びとなった。

新薬の投与は週に3回行うことになっており、ライト氏の場合週末の金曜日に最初の注射を受けた。

週明けの月曜日、担当医は病院に向かいながら、ライト氏のそれまでの病状から、既に危篤状態に陥っているか、あるいは、もしかしたら死亡しているかもしれないと考えていた。

そこで担当医が目撃したのは、今まで熱に苦しみ、呼吸も困難な寝たきりの状態だったライト氏が、病棟内を歩き回り、看護婦たちと楽しげに言葉をかわし、耳を傾けてくれる相手なら誰でも元気一杯に話しかけている姿だった。

医師は、他の新薬を投与した患者を見て回ったが、変化なし、あるいは患者によっては症状の悪化さえ認められた。

すなわち、著明な効果はライト氏だけに認められた。

体の各部にあった腫瘍も、数日のうちに、もとの半分の大きさに縮小していた。

ライト氏には、「効くはずのない」薬の投与以外、何も治療は行われていなかった。

その後、注射は予定通り、週3回行われ、わずか10日のうちにライト氏の症状はすべて消滅した。

。。。続く

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