リフレーミングで制限の壁を越える
「1マイル4分の壁」
スポーツ心理学ではよく取り上げられる実話で、人間が自分の持っている「思い込み」で、いかに自分の可能性を制限しているか、のエピソードです。
陸上競技会において、1954年までは、人間の力だけで(ドーピングなどを使わずに)1マイル(約1600メートル)を4分以下で走ることは不可能とされ、1923年にフィンランドのパーヴォ・ヌルミが出した4分10秒3の記録を樹立した後は、もうこれ以上の記録は出せないだろうと専門家は断言し、1マイル4分を切ることは人間には不可能というのが世界の常識のようでした。
このことは、当時は、南極点到達や、エベレスト到達よりも難しいと考えられていました。
それが、当時の陸上競技会の「常識」になっていたのです。
しかし、イギリス・ロンドンの陸上選手であった、ロジャー・バニスターという人は、こう考えました。
実は、ロジャー・バニスターは陸上選手だけでなく、様々なスポーツに精通しており、例えば、スキーやスピードスケートなどの競技では、1/100秒差とか、1/10秒差で勝負が決まることを知っていました。
そこで彼は考えたのです。
確かに、「1マイル4分」を切ると考えると、難しく見えますが、「4分を240秒」と考え、「1マイルを239秒と9/10秒」で走ると考えると、何となく出来そうな気がし、記録を破ることは可能ではないかと考えました。
「4分を240秒」と考えるところがリフレーミングです。
彼は、リサーチを重ね、さらには練習にも科学的な手法を取り入れ、最終的には、オックスフォード大学において、1マイルを3分59秒4で走り、世界で初めて1マイル4分を切る記録を打ち立てたのです。
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