オバマ大統領が使ったNLPテク (5)

オバマ大統領のスピーチには、エリクソン催眠をはじめとした、様々なNLPのテクニックが使われていることを解説したレポート

「An Examination of Obama’s Use of Hidden Hypnosis Technichs in His Speech」

の解説の続き。


「言語の”深い構造”と、”表層的な構造”」

オバマ氏が催眠言語のテクニックを使っていることに、ほとんどの人々は気付かない。

なぜなら、オバマ氏のテクニックは、ごく日常的な言語に「隠された」ものであり、いかにも”これは催眠です”というような使い方をしないからだ。

また、催眠言語に対する知識は複雑で、一般大衆には手の及ばないものであると同時に、それを解説するのも困難であることから、あらゆるメディアが、催眠言語のパターンについて言及することもないことは、オバマ氏の望むところである。

我々が、日常的に使っている会話における「言語」そのもの、あるいは、それが意味する内容は、コミュニケーションの “表層的な構造” である。

逆に、催眠というものを科学的に理解するには、会話の”深い構造” - 例えば、「見たり」「聴きこえたり」「経験したり」することの意味をどうすれば無意識領域に送り届けられるかデザインする必要がある。

また、脳は出来事に対する情報を、「削除」「歪曲」あるいは「混乱」させて無意識領域にストックするという性質を考慮する必要がある。

催眠をかける側は、相手をトランスにいれ、脳の「意識」が気付かないように、意図的に、この “深い構造(deep structure)” の形のコミュニケーションを構築して、相手の無意識領域にメッセージを送る。

以下は、ペーシング・ステートメントの中に「命令(command)」をそれとは分からないように隠し、しかも、あえて間接的な表現を用いることにより、相手の心理的抵抗を避けている。

この間接的な表現(indirect suggestion)は、日常会話の中で催眠を用いる時の極めて重要なものである。

オバマ氏は、ペーシング・ステートメントの一つとして、

“we rise and(or) fall as one nation”

というフレーズを使っている。

このフレーズは、パワフルで、真実でもあるかのように捉えられる。

ここで、オバマ氏はペーシングのスキルを用いて、秘密裏に誰にも気付かれずに、(聞いている人の)無意識に対してメッセージを送っている。

ここで、ペーシング・スキルの意義について思い出して欲しい。

ペーシングとは、相手(個人でも大衆でも)に対して、現在経験している、「否定のしようがなく」「正確な」事実を述べることから始まる。

“we rise and(or) fall as one nation”

というフレーズで、どこがペーシングなのかというと、1つの国(one nation)が

「rise and fall」

しているのではなく、これを聞いている人全てが、「呼吸で自分の胸が、”rise and fall”」している、という意味が隠されている。

このことは、誰にも否定しようがない、絶対的な事実である。

しかも、この意図について気付く人は誰もいないであろう。

ここで、オバマ氏の演説の中で、よくありがちな「清き一票を、是非、この私に投票してください」といったフレーズを唱えたことは無いことに気付いてほしい。

その代わりに、オバマ氏は、大衆を目の前にした演説で、ペーシング・ステートメントを繰り返し用い、聞いていてる人の注意力を下げつつ、催眠言語的な命令(command)を言葉の間に「すべり込ませて」いる。

例えば、

「… and that is why I will be your next President」

である。

オバマ氏は、様々なレベルでのコミュニケーション・スキルを駆使して、あなたの理性的な判断能力を低下させ、直接、無意識の領域にメッセージを送り続けることにより、圧倒的な支持を得ることに成功した。

その熱狂振りは、”saying they will win”というフレーズに代表されるように、普通なら政治家が何かがあると疑わなくてはならないレベルであった。

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