オバマ大統領が使ったNLPテク (2)
オバマ大統領のスピーチの秘密を解説したレポート
「An Examination of Obama’s Use of Hidden Hypnosis Technichs in His Speech」
の解説の続き。
このレポート中に記述されている「conversational hypnosis」は、エリクソン催眠を基礎としている訳ですが、エリクソン博士自身、この手法がいかにパワフルであるか熟知していたので、(悪用されるのを避けるために)限られた医師にしか、手法を教えなかったそうです。
その後、グレゴリー・ベイトソンの紹介で、ジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーが、NLPの「ミルトンモデル」として体系化した訳ですが、エリクソン博士が使っていた手法は、そう簡単には体系化できないほど、奥が深かった代物だったかもしれません。
この催眠の技術は、相手が意識の上で「信じているもの」に関わらず、ヒトの無意識に直接働きかけるので、非常にパワフルな暗示を相手に与えることが可能です。
また、その暗示は、日常会話の中に「隠された形」で行われます。
エリクソン催眠は、相手の「意識」の判断や「クリティカルファクター」の抵抗に遭わないことが、そのパワフルさの要因になっています。
クリティカル・ファクターは通常、意識に近いところで働き、外部から入ってくる、様々な情報について、その人の「信念・価値観」に合致しているか精査し、合致するものだけを無意識領域に送る、という一種のフィルターの役目を果たしています。
そして、催眠とは、言語のパターン、見た目のトリック、ボディランゲージ、声や声のトーンなど、コミュニケーションに関わる様々なテクニックを駆使して、このクリティカル・ファクターの検閲機能をバイパスして、「暗示(suggestion)」を無意識領域に直接送る技術です。
例を挙げると、日々の生活の中で、私達は「chicken(臆病者)」と言われても、気になることはありませんし、現実に臆病な行動をとることはありませんが、それは、クリティカル・ファクターの働きにより、「chicken」という言葉のイメージが無意識領域に達するのをストップさせているからです。
しかし、ヒプノセラピストは「chicken」というイメージ・暗示を、「意識」の領域にあるクリティカル・ファクターの働きを素通りさせて、「私はchickenである」という事を「事実として無意識に信じ込ませる」スキルを知っているのです。
まとめてみると、”conversation hypnosis”、もしくは、エリクソン催眠は、様々なコミュニケーションに関係するスキルを駆使して、
- 古典催眠とは異なり、日常会話の中に「暗示」を埋め込むことが可能
- ヒトの意識の中には、外界からの情報から、無意識を防御するために、検閲・フィルタリングする機能(クリティカル・ファクター)が存在すると考える。
- “conversation hypnosis”、もしくは、エリクソン催眠は、このクリティカルファクターの機能をすり抜け、直接、無意識の領域に暗示(suggestion)を送り込むことが可能になる。
といったところでしょうか。
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