オバマ大統領が使ったNLPテク (1)
米国大統領であるオバマ氏は、その卓越した演説で聴衆を味方につけ、最終的には、アメリカ大統領という地位に上り詰めました。
オバマ氏が大統領になった時には、日本の書店でも彼のスピーチの卓越性についての(ノウハウ)本が並んだ程なので、覚えている人も多いでしょう。
さて、ここに、あるレポートがあります。
題名は
「An Examination of Obama’s Use of Hidden Hypnosis Techniques in His Speech」。
オバマ氏は自身のスピーチでエリクソン催眠(レポート中では「conversational hypnosis」)や様々なNLPのテクニックを使っている、という内容のモノです。
このレポートの前半は、エリクソン催眠(comversational hypnosis)の概略が書かれているので、良い参考になると思います。
レポートの著者は、オバマ氏はかなり洗練された催眠言語を駆使しており、それは、催眠に詳しい第三者が聴いても、ほとんどの人は分からないだろう、と述べています。
オバマ氏が、街頭での演説、ラジオやTVのインタビューに催眠言語を使った意図は、ただ1つ。
「私に投票しろ」
普通の場合でしたら、上記のことを、直接的に言われたら、ほとんどの人は逆に反感をかうでしょうが、オバマ氏は、この意図を催眠言語を使うことにより、私達の意識にそのメッセージを送るのではなく、無意識にメッセージを送ったのです。
こうすることにより、オバマ氏のスピーチを聞いた人達の多くが、投票所でオバマ氏に「何となく」投票をしたのです。
普通なら、いろいろと思考し、論理的な結論を導き出すのに使われる「脳の検閲的な機能」を迂回し、無意識に直接働きかけるのが、エリクソン催眠です。
このレポートの中では、「クリティカル・ファクター (critical factor)」というものが、私達の脳の「意識」の部分に存在し、論理的、あるいは、道徳的な情報だけが無意識領域に届くように、外部から届く情報の、一種の「フィルターの」役割を果たしている、としています。
現在は、パソコンを使うことも一般的になってきたので、このような喩えをしてみます。
- 意識・・・いろいろなプログラム
- クリティカルファクター・・・セキュリティプログラム
- Windows,Mac OSのようなOS・・・無意識
こんな感じでしょうか?
人間の脳は、右脳と左脳の2つに別れていますが、現代催眠の祖とされるミルトン・エリクソン博士は、「片方の脳が活発に活動している時でも、もう片方の脳も”意識下”で、同様に活動している」というような事を述べています。
そして、エリクソン博士が開発した催眠誘導は、以下の3つの流れに沿います。
- 言語を司っている脳半球に、言語を用いてペーシングし、同時に混乱を引き起こす
- 意識下の言語処理を利用して、相手に気付きを起こさせる
- もう一方の大脳半球(いわゆる無意識)にアクセスする
以上のように、言葉にすると簡単なようですが、実際に使うとなると話は別で、相当な訓練が必要になります。
逆に、使いこなせるようになれば、パワフルな道具となります。
レポートの中では、「transformation linguistics(変容のための言語学)」と記述してあるくらいです。
「conversational hypnosis」は、エリクソン催眠を基礎としており、ごく普通に話している相手に対して、相手の判断や、クリティカルファクターによる検閲をスリ抜けて、自分の意図する内容を、相手の無意識に直接埋め込めます。
そして、オバマ大統領は、このテクニックを自分のスピーチに取り入れたのです。
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