仕事で優秀な成績をおさめる人 (2)

(昨日の続きから)

ポジティブ心理学を開発したセリグマン博士は、その理論が実社会に対して応用可能かどうか検討を始めた。

舞台は、1980年代のアメリカに実在したメトロポリタン生命。

保険会社のセールスマンは、断られても、断られても、次の客に電話をかけて、勧誘をしなければならない、精神的に過酷な仕事だということらしい。
(そして、そのリターンは、その過酷さに見合った額でもある)

セリグマン博士は、先ず、既に入社しているセールスマンの能力を計測することにした。

計測には、当時アメリカで広く使われていたIQテストやSAT(アメリカ合衆国大学進学適正試験)をベースとしたものではなく、博士自身が研究室で作成したASQ(Attributional Style Questionnaire:特性診断テスト)を用いて結果を解析した。

結果としては、成績が優秀なセールスマンは、不振な人と比べて、ASQの得点が高い傾向が見られた。

また、ある年には、入社試験とは別に、試験をパスした人についての追跡調査を行った。

結果は、というとメトロポリタン生命のトップが以前話したように、半数以上が会社を辞めてしまった。

ただし、内訳を見てみると、楽観度テストで下位半分にいた人は、上位半分にいた人よりも2倍辞める率が高かった。
また、楽観度テストで、上位1/4にいた人達よりも、下位1/4にいた人のほうが、3倍辞める率が高かったという結果が得られた。

その後、いくつかの検討を行ったが、最終的に、会社はセリグマン博士の理論を取り入れ、大博打にうって出た。

昨日の記事のように、人の雇用は、募集→試験→面接→研修といった具合に、会社としても莫大な手間と金額を使うことになる。

1985年、メトロポリタン生命は全国から1000人のセールスマンを雇用した。

彼らは、従来の会社の入社試験をパスした人達である。

これとは別に、入社試験には惜しいところで落ちてしまったが、博士が開発した楽観度テストでは優秀な成績を出した、129人の「特別班」を採用した。

もし、これらの人が辞めてしまったら、会社としては300万ドルの損になってしまう。
(。。。と本書には書いてあった)

その結果はというと、素晴らしいものであったようです。

特別班の人達は、入社二年目にして、正規採用枠の人達の平均の成績を27%上回ったとの事。

その後も楽観度上位の人達は、下位の人達をどんどん引き離していき、セリグマン博士の理論は、従来の入社試験よりも、入社後のパフォーマンスを正確に予測することを示した。

なぜ、か?

セリグマン博士は言っています。
(以下「オプティミストはなぜ成功するのか」より引用)

私達の理論でいくと、楽観主義は粘り強さを引き出すからだ。

はじめはセールスの才能と意欲も粘り強さと同様に大切だ。

だが、拒否され続けると粘り強さが決め手となる。

(引用終わり)

メトロポリタン生命は1950年代は最大手の企業でしたが、博士がこの会社でのテストとしての「特別班」の採用を終えた後は、会社の成績が落ち、トップをプレジデンシャル生命に奪われてしまった。

その後、メトロポリタン生命は、かつて行われた「特別班」の採用を、正式に改めて採用し、セールスマンの人数を増やし(何度か言っているように、精神的に過酷な業務なため、すぐに人が辞めてしまう)、シェアを伸ばした。


【BGMに使えるピアノ曲・今週の一曲】

007 ユア・アイズ・オンリー(007シリーズ映画「ユア・アイズ・オンリー」主題歌) / シーナ・イーストン(ピアノ solo)

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