常識とは反対の無意識の力

一般的には、日常行われる私達の様々な作業には、「速度-精度相反性(Speed-Accuracy
trade-off)」の傾向が認められるケースが多いと言われているようです。

単語としては難しいですが、具体的な例を挙げるとすれば、

  • 製造ラインの生産スピードを上げようとすれば、不良品が多くなる
  • 試験の時間が非常に短いと、正解率は低くなる。逆に、考える時間がタップリあれば、正解率は上がる。

といった具合です。

ところが、ある分野では、逆に、時間が短ければ短いほど、作業の結果が上がる分野があります。

それは、長年の経験のスキルが必要な分野です。

例えば、スポーツの1つであるゴルフ。

こんな実験が行われた例があります。

この実験では、ゴルフのビギナーとベテラン・ゴルファーの二人について、グリーン上のパットに関する比較を行いました。

内容としては、グリーンの条件は全く同じにして、パットの時間を3秒の場合と、好きなだけ時間を掛けた場合とで、カップインの成功率を比較しました。

その結果、3秒という時間制限というプレッシャーの掛かった条件下では、新米ゴルファーの場合は、なかなかカップイン出来なかったのに反し、ベテラン・ゴルファーの場合は、時間無制限の場合より、3秒下というプレッシャーのある条件の方が成績が良かった、という結果が得られました。

さらに、実験は続きます。

今度は、パッティングの際に、テープレコーダーから流れる音の数を数える、といった具合に、本来の動作とは全く無関係の、わざと気を散らせる課題を与えました。

結果は、ゴルフ・ビギナーの場合は、ご推察の通りですが、ベテランの場合は、面白いことに、パッド動作に集中すると、カップインの成功率が下がり、気を散らせる課題に集中した時には、成功率が向上する、という結果でした。

この実験結果から、どのような事が考えられるでしょうか?

人間の意識は一度にひとつの事にしか集中できないため、動作順序や他のことに意識を向けると、ゴルフ・ビギナーのように、意識に頼った作業しか出来ない場合は、作業の結果は劣ったものにしかならないが、ベテランプレーヤーの運動スキルは脳の無意識の部分より実行されるため、特にスイングについて意識を集中させなくても、好結果が得られる、と考えられます。

以上は、ゴルフの例でしたが、同じような結果が他のスポーツにも見られるようです。

ゴルフは、一人でやる単独プレーですが、チームプレーのスポーツでも同様の結果が得られているようです

瞬間的な動作の決定が必要な場合、あえて時間を掛けて、次の動作についてアレコレ考えるよりも、直感的に、しかも最初に選択した動作の方が優れていると言えるようです。

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