カクテルパーティー効果

難しい言葉でいうと、音声の選択的聴取(selective listening to speech)のことで、1953年に心理学者のチェリー(Cherry)によって提唱されました。

カクテルパーティー、あるいは混雑したデパートのように、種々雑多な人間が脈絡のない会話をしている時、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる能力。

例えば、子供が迷子になったと知った親御さんは、どんなに騒音というか雑音があっても、自分の子供の声は確実に聞き分けられるでしょう。

あるいは、混雑した電車内で、誰かが「自分の名前を呼んだ」ことにハッと気が付く、という経験があるかもしれません。

さらに、この効果は、オーケストラの指揮者のように、様々な楽器が別々のメロディーを演奏していても、ある楽器の旋律だけをモニターすることが出来ることにも関わっています。

なぜ、このような話をしたかというと、以前、お話した本「最新脳科学で読み解く脳のしくみ」という本の中に、

「騒がしい場所で携帯電話をかけるコツ」

というコラムがあったのです。

それこそ、パーティーやJRのホームのように、周りの騒音が激しい所で、携帯をかける時は、特に、「相手の話を聞き取る」ということに難儀します。

このような場合は、「空いている方の耳を塞ぐ」というのがフツーなのでしょうが、これとは別の意外な方法に

携帯の通話口をふさぐ

というテがあるようです。

上記の「カクテルパーティー効果」というのは、科学者の間では「音源分離問題」と呼ばれ、騒音のような様々な音が混じりあった環境の中で、特定の音だけを聞き分けられるのは、人間の脳だけで、これだけ技術の発達が今日においても、どんな電子回路でも真似の出来ない離れ業。

私の知り合いに、音楽関連のエンジニアがいるのですが、その人が言うのも、「どんなに楽器やレコーディング技術が進んでいても、最後の決め手となるのは人間の耳だ」といっていたことを思い出しました。

あと、面白かったのは、その電話の構造です。

今でも、電話(携帯も含む)は、話し口から取り込んだ周囲の雑音を拾って、その雑音の一部を相手の声と混ぜて、耳に当てるスピーカーから流すような構造になっているとの事。

図的に書くと、

 相手の声+周囲の雑音 → 左耳 → 脳 ← 右耳 ← 周囲の雑音

では、なぜ、電話がこのような構造になったのか?

このコラムの説明によると、相手の声と通話口から入ってくる、本人の声を混ぜたほうが、「相手が目の前で話しているような効果がある」と発見したことに由来するらしいです。

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