幸福を感じる脳・不幸を感じる脳

「幸・不幸を感じる脳の場所は分かっている」

今から約40年ほど前の1970年代においては、心理学・脳科学の分野の研究の主流は、脳における推理、思考の分野に注がれており、私達が寝ている時以外は、常に感じている「感情」というものについては殆ど研究者の興味を引いていませんでした。

当時は、今から考えるとかなり単純化した様式で、「脳の前頭葉は考える箇所」「大脳辺縁系は感情をコントロールする箇所」という、かなり大雑把な考えが脳神経科学における常識でした。

しかしながら、ごく一部の研究者の間では、上記の、思考や感情を司る前頭葉の神経細胞が、大脳辺縁系にまで伸びていることが分かっていたので、私達が、(前頭葉で)何かを考えたり、想像したりすると、その情報が、(感情を司る)大脳辺縁系に何かしらの影響を与える、すなわち、感情を変化させるのではないか?という仮説を持っていました。

この仮説の内容をフレームを変えて記述すると、「脳が何に焦点を当てるかにより、私達の感情はコロコロと変化をする」という内容です。

面白いことに、丁度その頃の1970年頃、リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーにより、NLPの開発が始まっています。

さて、当時は、脳の中において感情が発生する場所の知見として次のようなものがありました。

脳卒中などで、右脳・左脳の片方だけにダメージを負った患者の場合、左側の前頭葉にダメージを受けると、不幸感を感じやすくなり、右側の前頭葉にダメージを受けると幸福を感じやすくなる、というものです。

ただ、当時はそれ以上の研究は進まず、健常者についての知見は得られていませんでした。

その後、1992年にウィスコンシン大学のリチャード・デビッドソン教授らのグループにより、健常者の脳波を測定し、前頭葉の活動と感情の起伏との間に密接な関係があることを示すデータが発表されました。

それによると、

  • 左脳の前頭葉の活動が右脳の前頭葉の活動より高い人は、「元気」「熱意」「喜び」などのプラス感情が多い。これらの人は人生を楽しく生きているため、幸福を感じやすい
  • 右脳の前頭葉の活動が高い人は、「心配」「不安」「恐れ」といったマイナス感情が多く、これらの人は自分の人生に満足できず、喜びを感じることが少なかった。
  • 右側の前頭葉の活動が、左脳を圧倒するほどの片寄りが著しい場合、深刻なうつが発症することが多かった

というものです。

その後、感情をコントロールする脳の箇所に関する研究が進み、現在では、左脳の前頭葉の活動が活発化すると、喜びや幸福感などのプラス感情を抱きやすいことが明らかになっています。

これが、「右脳は悲観的、左脳は楽観的」と呼ばれる所以です。

では、私達が訓練などで、意図的に左脳前頭葉を活性化することは可能なのでしょうか?

現在のところ、科学的データに基づいた方法はないようですが、一番お手軽で効果のある方法は「運動(ウォーキング等)」である、とある本に書かれていました。

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