どうすれば頭が良くなるのか?

ソーク研究所 フレッド・ゲージ教授(*)の言葉

脳が行動をコントロールすることは分かっていたが、私達の行動が脳の構造を変えることまでは知らなかったよ。


「大人の脳では新しい神経細胞は誕生しない」という、従来の脳神経科学の常識(ドグマ)を覆した研究チームの一人。

巷では、「頭が良くなる方法」なるものがいろいろ出回っていますが、脳神経科学の分野でも議論が続いたギモンです。

1960年にカリフォルニア大学バークレー校において、成体のネズミを使った実験が行われました。

当時は、今のように測定技術は発達していませんでしたから、人間の脳の様子を調べるには、脳を直接切開しなければならず、科学的なデータを取るには、実験動物を使うしかありませらんでした。

さて、研究チームはネズミを、2つのグループに分けました。

1つ目のグループは、小さな梯子、回し車、ボールなどのおもちゃを入れた環境で、仲間のネズミと一緒に育てた「恵まれた環境」のネズミ。

もう1つのグループはこれらのおもちゃもなく、仲間もいない空のかごで育てられた「平凡な環境」のネズミ。

これら、2つのグループを数ヶ月飼育して、脳を切開して調べたところ、「恵まれた環境」のネズミの方が、「平凡な環境」のネズミより、大脳皮質や海馬の重さが増加していた事が分かりました。

その当時は、結論としてはここまでで、本当は、ネズミの脳内で神経細胞の新生が起こっていたことに気付いた研究者はいませんでした。

さて、上記の実験で大きな役割を果たした要素は何だったのでしょうか?

おもちゃか?あるいは、仲間とのじゃれあいか?

当時から、大きな影響を持つ要素として、「エクササイズ(有酸素運動)」が有力視されていました。

そして、1990年の終わりの頃に、サンディエゴにあるソーク研究所で、ネズミを用いた「モリスの水迷路」の実験によって、「エクササイズしたネズミは知能が高い」という結果が得られます。

以上はネズミでの話しでしたが、実際、我々人間の場合ではどうなのでしょうか?

fMRI(機能的核磁気共鳴)など、脳の様子を外側から観察できる測定装置などの発達により、人間でも同じことが当てはまることが判明したのです。

エクササイズは副作用もない、「究極の」頭を良くする特効薬と現在では考えられています。

私が最近読んだ本で「脳を鍛えるには運動しかない」というものがあるのですが、その紹介文の中の1つとして、「運動は単に必要なだけじゃない。本書であきらかなように、運動は薬なんだ」(グレッグ・レモン:ツール・ド・フランス個人総合優勝を3度達成)というものがありました。

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