65歳で起きた脳卒中からの奇跡の回復 (1)
「脳は何歳になっても可塑性を持っている」
今から約50年前の1959年の某日、ニューヨーク市立大学で教鞭をとっていたペドロ・パキリタは重篤な脳卒中に見舞われた。
当時の彼は65歳で妻を亡くし、独身だった。
すぐさま彼は病院へ運ばれたが、医師は回復の見込みはなく、施設に入らなければならないと宣告した。
しかし、幸運なことに彼の息子であったジョージは医学部の学生であり、この医師の言うことに納得せず、父親を別の病院に入院させ、リハビリを開始した。
当時は、脳卒中後の脳が治療によって回復することはないと考えられていたため、当初の病院では普通のリハビリを一通り実施しただけで、回復の形跡はなかった。
彼の息子であり、医学部生のジョージはリハビリについては全くの素人であったが、当時の悲観的な常識・理論に拘らずに、独自のリハビリを開始したのです。
時は過ぎて、倒れてから一年が過ぎる頃には、ジョージの父親は、歩くこと、話すこと、タイプを打つことも一通りできるようになっていました。
そして、68歳になると、彼は元の大学の常勤の教授に復帰、70歳でニューヨーク市立大学を退職し、サンフランシスコ州立大に移りました。
驚くことかなれ、彼は、その頃にとある女性と再婚を果たし、旅行や登山を楽しんでいました。
そして、72歳の時、コロンビアの高山に登った際、2700メートルの地点で心臓発作を起こし、死亡しました。。。
さて、彼の息子のジョージはどのようなリハビリを行ったのでしょうか?
詳細は省略しますが、内容としては、(いきなり登場しますが)催眠療法家であるミルトン・エリクソンが自らポリオによる全身麻痺から回復した過程と、殆ど同じです。
エリクソンは、ある日、思いました。
赤ん坊は、全く歩けない状態から、ハイハイが出来るようになり、そして、壁を伝って歩くことを覚え、さらに、両足だけで自由に歩けるようになる。
自分も、同じ事をすれば、歩けるようになるかも知れない。。。
そう考えたエリクソンは、独自でトレーニングを開始し、最終的には、全身麻痺の状態から脱したのです。
エリクソンは心理療法家であり、上記のジョージと同じく、リハビリの専門家ではありませんし、「脳の可塑性」についても全く知らなかったでしょう。
このような実例を見てみると、「○○歳だから、もう無理」という言葉は、自分自身あるいは、様々なメディアから刷り込まれた一種の「暗示」であるとも考えられます。
脳は「何歳になっても可塑性」を持っており、何歳になっても「変わろうと思えば、いつでも変われる」と言えるでしょう。
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