右脳:フラット化する世界
「フラット化する世界」を読んだ中に面白い記述がありました。
本書の詳細についてはアマゾンで調べて頂くとして、この本は経済学・地政学の本なのですが、心理学的に面白い記述がありました。
本書の中で紹介されている、「ハイコンセプト-新しいことを考え出す人の時代」の著者ダニエル・ピンクは以下のように述べています。
科学者は早くから、人間の脳をアメリカの南部と北部よろしく、真っ二つに分ける神経系の境界線があることが気が付いていた。
いわゆる左脳と右脳である。
しかし、10年ほど前から、性能の良いMRIのおかげで、左右の脳がどういうふうに責任分担をしているかということが、もっと精密に把握できるようになった。
左脳は順序づけ、字句通りの解釈、分析を行う。
一方、右脳は、状況判断、感情表現、総合的処理を司る。
1000億もの細胞があって、1クワドリリオン(10の15乗)の接続部から成っている人間の脳は、もちろん気が遠くなるくらい複雑に出来ている。
左右の脳は調和して働いていて、我々はどんな事でもたいがい両方を使っている。
だが、脳の構造は、われわれの時代のおおまかな形を理解するのに役立つ。
つい最近まで、学校や仕事で成功する能力を引き出すのは、左脳の持つ特性だった。
SATのようなテストで計測される直線的、論理的な分析の才能で、例えば、公認会計士がこれを駆使する。
現在でもこうした能力は必要である。
しかし、それだけでは十分ではない。
アウトソーシングによって逆さまになり、データが氾濫し、選択肢が山ほどある世界では、芸術的手腕、感情移入、大局的なものの見方、学識を超えたものの追求といった、右脳の特性に近い精神的なものが最も重要になる。
端的に表現すると、コンピュータやロボットがもっと早くやることが出来ない仕事や、優秀な外国人や安い賃金でやることができないような仕事を身につける、ということでしょう。
では、そういった右脳のスキルをどうやって身につけ、磨けばよいのでしょうか?
その1つの方法が、「自分の好きなこと、やりたいこと」をするのが挙げられるでしょう。
その人が持っている重要な能力は、たまたまその人が初めからやりたいと思っている事柄である場合が多いと思います。
例えば、初めから会計士や会社員になりたいと思っている人間はあまりいないでしょう。
デザイナー、作家、ミュージシャン、演劇家のように、物事を想像したり、他人の気持ちを汲む職業になるのは、そういう気持ちが生来備わっているからでしょう。
週末に近くの公園で水彩画を描く会計士や、休みの日にバンド活動をするサラリーマンは世の中に沢山いるでしょう。
しかし、逆に、彫刻家が週末に趣味で他人の税理処理をするという例は、まず見つからないと思います。
親や大学の卒業式で、あるいは、ある分野で成功している人が、「好きなことをやりなさい」と言うのは、それは甘ったるい夢のようなものではなく、フラット化するこれからの世の中におけるサバイバル戦略を教えようとしているのかもしれません。
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