後悔の理論
「ジャムの種類が増えたら売り上げが落ちた。」
「後悔」、それは人として日常生活を送っている私達一人一人に、数え切れないほど起きる、心の中感情です。
この、「後悔」という現象も、脳のヒューリスティクスなトラップの1つであるとも考えられます。
後悔では、感情と認知が分離できず、大きな感情のうねりが思考によって増幅される現象でしょう。
「もし、・・・だったらできたであろう」という、「条件的叙述」思考によって、後悔は膨らむのです。
ここで、よく考えると、後悔から生じる判断が非合理的であることに気付くかもしれません。
例えば、鈴木さんが、慌てふためいて駅に到着したが、電車は無情にも、丁度、走り出したところでした。
一方の、山田さんは同じような状況で、同じ電車を逃したが、山田さんは15分も遅れて駅に到着した。
さて、この二人のうち、後悔が大きいのはどちらだろうか?
状況は客観的に見れば同じで、二人とも次の電車を待たざるを得ません。
しかしながら、後悔の度合いは、鈴木さんの方が大きいのは明白でしょう。
鈴木さんにとっては、間に合ったかもしれない「可能な現実」が、山田さんと比べると、限りなく近くにあったのだから。
例えば、駅までのタクシーが、あの渋滞に巻き込まれなければ・・・、と鈴木さんは考えるでしょう。
コーネル大学のトーマス・ギロヴィッチは、後悔には時間の経過が大きく関わっていると提唱している。
直後には、私達は自分の意思でした後悔をより多く後悔する一方(あんな行動はしなければよかった、あんな投資はしなければよかった)、時間が経ってずっと後になると、自分の人生を眺めながら、果たさなかったことを後悔するという。(もっと家族と長い時間一緒にいればよかった、もっと勉強すればよかった、等)。
NLPのスキルを使いこなせるのであれば、「タイムライン」のスキルを使って、人生の最後まで行って、自分の人生を俯瞰する事が出来るようになります。
後悔は、現代という時代の矛盾の1つを明らかにいます。
工業的生産方法が発達し、日常生活に必要なものは、スパーマーケットや100円ショップに溢れかえっています。
その一方で、今まで人間が経験したことがない位に選択の可能性も自由も増しているのに、幸福感は、それに伴って大きくなっているでしょうか?
商品売り場の溢れかえらんばかりに陳列してある商品を見て、「何かを決めるための葛藤」により、脳の思考回路が麻痺してしまうのではないでしょうか?
ある有名な実験があります。
上記のようなスーパーマーケットの売り場の奥に特設の陳列棚を設置し、そこに6種類のジャムを並べました。
お客さんは、そこに足を止めて、味見をしてから買います。
しかし、ある程度時間が経過した後、ジャムの種類を6種類から24種類に増やしました。
ジャムの種類が6種類しかなかった時には、お客さんの40%が足を止めました。
24種類に増やすと、60%が足を止めました。
ここまではうなずけます。
しかし、結果としては、ジャムの種類が6種類の時は30%の人が、少なくとも1種類のジャムを買ったのに、24種類に増やすと、買ったのは3%のお客さんに激減したそうです。
つまり、選択肢が増えすぎると、選択の多様性をむしろ利用しなくなると考えられます。
これと、後悔とどんな関係があるのでしょうか?
考えられる可能性として、選択肢が増えすぎると、比較する頻度も増え、その結果、ほかの種類も買うことも出来たのに、という後悔も増えてしまうので、お客さんは無意識的に、その後悔を避けるために、あえて、「どれも買わない」という選択をする、というものです。
同じような現象が、休暇、学校の選択、仕事の選択、医学的検査、などに起きていると予想されます。
後悔という現象は、感情と思考が複雑に絡み合い、将来を見つめながら(将来の気持ちを先取りしながら)過去を振り返るという、ややこしいことをするので、後悔という脳のトラップは複雑なものとなっている、といえるでしょう。
「後悔の理論」regret theory
自分が何か悪い選択や決定をすることで後悔するのではないかという「後悔への恐れ」が、人の選択・決定に大きな役割を演じるとする理論。
人はもともと「後悔を嫌い、避けたい」という「後悔回避(regret
aversion)」の傾向を強く持ち、短期的に失敗行為の方に強い後悔の念を覚え、長期的には、しなかったことを後悔する、とされている。
株式投資などをする時に、「後悔したくない」というばかりが先にたち、リスク回避の行動を取る一方、さらに大きなリスクへ駆り立てさせられてしまうことはよくある。
「後悔先に立たず」とは良くいったものだが、「もし・・・だったら」とは一生付き合う覚悟が要るようだ。
さて、ここで、NLPの再登場です。
NLPの前提の中に、「人は、その時における最善の選択をしている」というものがあります。
また、「後悔」とは言語学としては、「一般名詞」にあたるでしょう。
ここで、メタ・モデル的な質問です。
「あなたは、どのようにして、その選択を失敗だったと考えたのですか?説明してください」
(↑もっとむ、洒落た質問があるかもしれません)
NLP創始者のバンドラー博士の言葉にもあります。
「過去の良い所は、それはもう終わった、ということだ。過去を完了させれば、未来には無限の選択肢がある」
「後悔を避けたい」という脳の中の思考には、「世の中には、後悔というものが存在している」という、大きな「前提」がありまることに気が付くのも一法でしょう。
また、「人生万事塞翁が馬」の寓話もあるこことを思い出すのも有用かも知れません。
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