エリクソン催眠:ペインコントロール
症例 ジョー
エリクソンは形式に沿わない催眠による心理レベルのコミュニケーションである、ちりばめ法(intersperal technique)の使用実例を報告している。
この症例では、それらの技法をペインコントロールに使用した例である。
ジョーは花の栽培事業をしていたが、末期癌を患い入院し治療を受けていた上に、その痛みに苦しんでいた。
大量の鎮痛剤のために中毒症状が起きていたが、殆ど効果はなかった。
エリクソンは、ジョーの親類から、催眠で痛みを取り除いてほしいと頼まれた。
しかしながら、ジョー自身は「催眠」という、その言葉でさえ嫌っていた。
結局、ジョーはエリクソンと面談することになったが、以下は、エリクソンがジョーに話した逸話である。
ジョー、あなたと話してよいですか?
あなたは花屋で、花を育てていることを聞きました。
私はウィスコンシンの農家で育ちました。私も花を栽培するのが好きであり、今も作っています。
あなたとお話をしたいので、その安楽椅子に掛けてください。
いろいろな話をしますが、花のことについてはあなたの方が詳しいので話しません。
それはあなたが望んでいるものではありません。(That isn’nt what you want)
(ここで、強調文字にしてあるのは、さりげなくちりばめられているように助言が行われていることを示している。音節、単語、文節あるいは文章が少しずつ違ったイントーネーションで話されている)
さて、私は話すことは、とても楽に(comfortably)できます。
これからトマトの苗の話をしますから、あなたは楽に(comfortably)聞けるだろうと思います。
こんなことをお話するのは変わっていますよね。不思議(curious)でしょうね。
なぜトマトの苗の話をするのでしょうか?(Why talk about a tomato plant ?)
ある人がトマトの種を土の中に植えます。その人は、トマトの苗が育ち、実がなって満ち足りた気分にさせてくれる(will bring satisfaction)のを待ち望む(will hope)ことでしょう。
種は水分を吸収します。
それはあまり難しいことではありません(with not very much difficulty)。
そうできるのは、ほっと安心させてくれる(bring peace and comfort)雨のおかげです。。。
ジョーは、トマトの苗についての、このエリクソンによる独り言の中にちりばめられた暗示に反応して、やがて退院し、体重も増え体力もつき、鎮痛剤も少なくて済むようになった。
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