エリクソン流の治療フロー

リソース(資質)を利用する、という考え方はよく言われることであるが、実際にこれを推し進めたのはエリクソンである。

心理療法においては、その過程が最も重要である。

時期を選んで正しく種を蒔かなければならないし、その後も、大切に育てる必要がある。

エリクソンは、心理療法の過程は一つ一つの積み重ねであると理解し、患者の人格に合わせてゆっくりと効果的な介入を行った。

その際、際立つような介入を単発的に行ったというよりも、エリクソンは、それらを多くの段階に分け、クライアントからその一つ一つの段階で同意を得ていった。

それらの一つ一つ段階は編みこまれ、中心となる介入が示された時には、それは既にクライアントが同意していた一連の段階の中の1つに過ぎなくなっていた。

エリクソンの治療の流れについて、その要点を挙げると、次のようになるであろう。

  1. クライアントに備わっているリソース(資質・気付かれていない強み)を明らかにする
  2. クライアントのビリーフ(価値観)を理解する
  3. クライアントのビリーフを利用してリソースを育てる。エリクソンの暗示における高いヒット率は、エリクソンの感覚が鋭かったことや細部に注意を向けたこと、そして、特にクライアントの価値観を利用したことによる
  4. リソースを育てて、問題に直接的または間接的に結びつける
  5. 第4段階は、一歩一歩段階を踏み、信頼関係を結び、動機を高め、常にクライアントの反応性に気を配ることで、最もうまく行われる。エリクソンは、クライアントが自ら何かをするのが最良の学習法であると信じていた。治療はクライアントの価値観に対して適切に行わなければならないと考えていた。
  6. あらゆるクライアントの行動は(抵抗でさえも)、治療的に受け入れ、利用することが出来る。あらゆる状況は、治療的に受け入れられ、利用される。
  7. ドラマは、指示への反応性を強化するために用いられる
  8. 考えを示す前に、予め種を蒔いておくと反応が起きやすくなる
  9. 全てを左右するのはタイミングである。治療には、進むとき、休むとき、復習するときがある。これらの時期に、あまり注意していないと、しばしば抵抗が起こる
  10. セラピストもクライアントも、期待していることが必要である
  11. 仕上げをする(Follow thrrough)。これは介入がどの程度効果的であったか調べることも含んでいる。そのためにクライアントに、セラピストの前で新しい行動を取らせる、という方法もある。また、クライアントにフォローアップのための連絡を取る、という方法もある。他には、クライアントにイメージの中で新しい行動を取らせる、という方法もある。仕上げをすることと、種蒔き(seeding)とは巨視的にも微視的にも認められる。治療の各段階で種が蒔かれ、治療的反応が引き出されているかどうかが試される。

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