EMDR (3)
EMDRの作用については明確なことは解明されていないが、脳の画像診断技術によって、その効果について確認することが可能になってきた。
これまでの研究で分かっていることは、パニックに陥ると、脳は通常の方法で情報を処理できなくなる、ということである。
パニックを引き起こした出来事は、「時間が止まり」、脳の情報処理システムがフリーズして、「抜け出せなくなる」のだ。
この出来事を思い出す度に、発端となった出来事の光景や音、におい、思考、感情が、実際に起きた時とおなじくらいに強烈にクライアントに押し寄せる。
パニックょ引き起こすこのような記憶は、社会に対する見方や、他人との接し方極めてネガティブな影響を及ぼす事がある。
現在の出来事や、会話のやりとりが、パニックを引き起こす出来事を再び体験させるのだ。
パニックを引き起こす材料を脳が処理する方法に、EMDRは直接に影響を及ぼすと考えられる。
研究者によると、眼球運動がきっかけとなって、神経生理的なメカニズムが生じ、「加速的情報処理システム」を活性化させるらしい。
加速的情報処理とは、パニックを引き起こす体験を急速に通過させること、つまり「新陳代謝」の意味で用いるEMDR独特の表現である。
EMDR治療を上手に行うと、パニックを引き起こす体験を経て適応できる程度まで症状が消失した状態に到達する。
EMDRを受けた人は、その出来事は過去のことだと思えるようになり、何が、あるいは誰が原因でそのような出来事が起こるのかを適切に認識し、現在の安全や選択能力について、もっと自身が持てるようになる。
その後も起こった出来事を思い出す可能性はあるが、パニックは非常に少なくなる。
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