エリクソン催眠におけるペーシング
米国のエリクソン催眠の専門家がセミナーを開くとのことで、実際にエリクソン催眠がどういったものなのか知ることを目的に参加した。
日本国内では、「クライアントが気付かないうちにトランス状態に」とか「アッというまにトランスへ」などという華々しい言葉が並ぶエリクソン催眠であるが、今回のワークショップで行った手順は、思いのほか地味なものでした。
実際に初めてみると、古典催眠同様、ペーシングの部分があります。
また、ここでは詳細は省略しますが、古典催眠ではお馴染みのカウンティングもありました。
(ただし、やり方はエリクソン催眠らしく、かなり凝っている)
異なる点は、古典催眠は「貴方はだんだんとリラックスしていきます」等、クライアントに対して暗示をねじこんでいきますが、エリクソン催眠のペーシングは、「クライアントにとっては絶対的な事実」をダラダラと述べていくところにあります。
例えば。。。
「あなたの耳には、周りの人たちが話している声が聞こえています」
「床に目を落としてみると、○色のカーペットが敷かれています」
「あなたの体の表面は今身に付けている服の素材の感触を感じています」
などです。
通常は4~6個のステートメントを使うようです。
講師の話だと、エリクソンのクリニックは騒々しい場所にあったこともあって、セラピストの声以外の雑音もトランス誘導に利用するステートメントをいれるのがポイントだとの事。
一方、NGのペーシングの一例は、
「部屋の窓から外を見ると、綺麗な町並みの光景が見えます」
この場合、見える町並みの光景が「綺麗」ということが、クライアントにとって事実かどうか分からない、クライアントは綺麗と思わないかも知れないかからです。
これは、笑い話の例として出たのですが、とあるクライアントのペーシングで、エリクソンは「昔、娘が九九の練習をするのに付き合わされてね、娘が言うんですよ、2×2が4、7×8は56、3×8は24・・・」といった内容を延々と話していくと、さすがにクライアントは抵抗できずにトランスに誘導されたそうです。
その他、ペーシング時のTipsとして
- このペーシングのステートメントの中に暗示を入れていくのも一法
- クライアントの呼吸に合わせて声のトーンを変える
- クライアントの瞬きに合わせて、指をトントンと動かすなどすると、ミラーリングとなる。あからさまなミラーリングは逆効果
- ペーシング・ステートメントにはVAK感覚をまんべんなく使う
ワークの中には、6ヶ月後の自分を体験する、といううものがありました。
これは、NLPのタイムラインと内容は全く同じだったのですが、講師の話によると、エリクソンが用いた手法をNLPのスキルにパターン化したようです。
最後に、ワークショップ全体の感想として、アメリカ式らしく「先ずは、とにかくやってみよう。だけど楽しくね」といった感じで、次々と実習を全員でこなしていきます。
特にメタファーの実習では、「上手くできるかナ~」と最初は思いましたが、実際、やってみると思った以上に簡単にできました。
先生は話すばかり、生徒は聴いたり、ノートに書いたりするだけ、あとは丸暗記という日本の講習会とは全く異なる、体験型のワークショップでした。
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