がん治療への心理学的アプローチ (2)

「自分の知らない(理解できない)疾患が原因で死ぬことはない」

サイモントン療法の開発者の一人である、(当時の)テキサス大学医療科学センターのリハビリテーション科学研究部長でもあり、心理学者のジーン・アフターバーグ氏は、人の考え方や信念も健康に対して重大な役割を果たしている、と主張しています。

例えば、死期が近いという理由で退院して自分の家に帰ってきた場合、患者自身が「そんなことはない」と自分で信じていたため、完全に回復して医者を驚かせた例は、医療に従事したことのある人であれば、誰でも聞いたことのある話のようです。

「自己治癒力-イメージのサイエンス」(日本教文社 1991)の中で、アフターバーグ氏は、自らが体験した例について語っています。

このケースに登場する女性は、病院に運び込まれた時点で、既に、昏睡状態で全身が麻痺した状態でした。

検査の結果、広範囲にわたる脳腫瘍と診断され、安全な範囲で腫瘍を出来る限り切除する外科的手術を受けました。

ただし、彼女の場合、死期が近いとの判断もあり、放射線療法や化学療法を受けることもなく退院したのです。

そして、この女性が他の腫瘍患者と異なるのは、退院後、死を迎えるどころか、日を追うごとに回復していった事です。

アフターバーグ氏は既に述べたように、この患者の予後を観察することができたのですが、1年四ヶ月後にはガンの痕跡は全く認められませんでした。

なぜ、このような劇的な回復が認められたのでしょうか?

その理由の一つとして、彼女は一般的な意味で「賢い」女性でしたが、その一方で、彼女の生い立ちから、教育のレベルは決して高い方ではなかったのです。

このことから、彼女は、「腫瘍」という言葉の意味を本当は知っておらず、そのために、「腫瘍 = 死」という意味も知らなかったことが挙げられるかもしれません。

だからこそ、彼女は自分が死ぬことなど信じず、それまでの彼女の人生で経験した疾患と同様、自分を奮い起こして、今回の「全く意味が理解できない」病気に立ち向かえば、必ず克服できる、と信じていたことがガンを治癒したのだ、とアフターバーグ氏は考えています。

最後にアフターバーグ氏が彼女に会った時には、麻痺の痕跡は全く認められず、杖等の補助具を全く使わずに日常の生活をこなしていたそうです。

このアフターバーグ氏の見解を指示する材料として、彼は知的障害や情緒障害を持つ人たち、すなわち、今回の場合は、「ガン = 死」という一般的な概念を理解できないグループは、通常よりもガンの発病率がかなり低いことを挙げています。

テキサス州における4年間にわたる調査において、死亡原因におけるガンの占める平均的な割合は15%~18%だったのに対し、既述の2グループにおいては、僅か4%でした。

さらに、興味深いことに、1925年から1978年の間に、同じく既述の2グループでは死因としての白血病がただの一例たりとも記録に残っていないことです。

この、アフターバーグ氏の調査の他にも、アメリカ全国や、英国、ギリシア、ルーマニアなどの他の国々についても同様の結果が報告されているようです。

以下は、現代催眠・エリクソン催眠の視点での考察になりますが。。。

現在の日本においては、ガンの早期発見の重要性が主張されてきて久しいですが、そのキャッチフレーズとして頻繁に利用されるのが、

  「ガンは早期の段階で発見・治療すれば必ず治る病気です」

というものです。

これ短いフレーズに「埋め込まれた」別の意味は何でしょうか?

このフレーズをTV等を通じて、何度も何度も子供の頃から聞いていたとしたら、どのようなビリーフを持つに至るのでしょうか?

あるいは、最近は低調になったと聞いていますが、保険会社が販売している、ガン保険のCM。

諸外国の例は不明ですが、私たち日本人は、いつの間にか、「ガン = 死」という信念を埋め込まれているのかもしれません。

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