気分の持ちようでガンが治った症例 (3)

ガンの治療に関する心理学的な面からのアプローチは殆ど耳にすることはありませんが、今回の症例は結構有名なようで、物語に登場する幻のガン治療薬(ただし全く効果はない)「クレビオゼン」というキーワードで検索すると、結構の数の記述がヒットします。(Klopfer,1957,pp.337-339)


前回の話のように、ライト氏に起きた信じられないような現象は「クレビオゼン」の臨床試験の開始の頃に認められたものでしたが、その後、その他の症例の知見が集まるにつれ、これとは相反するような結果が報道され始めました。

試験を実施している他の病院はどこも、何ら有効な結果を得られなかったという報道が新聞記事として掲載されるようになりました。

試験開始から数週間が過ぎ、ライト氏はこの事態に困惑すると同時に、最後には、この新薬の他には何も残されていない頼みの綱に対する信頼を失い始め、2ヶ月間は完全な健康体だったにも関わらず、再発して元の状態に戻ってしまいました。

そこで、彼の主治医である医者はとある決断をしたのです。

それは、彼をプラシーボ効果を科学的に解明する良い機会だと考えました。

この実験により、ライト氏がもたらした数々の不可解な疑問に対する答えが見出せるかもしれませんし、少なくとも、こり計画がライト氏に害を与えることはない筈です。

主治医はライト氏に非常に慎重に、新聞記事を信じてはいけない、この「奇跡の薬」はやはり本当に有望なのだ、と彼に告げました。

これに対し、ライト氏は「それならどうして私は再発したのですか」と尋ねましたが、主治医は、「それは薬の成分が時間と共に劣化しただけなのです。明日、非常に純度の高い、2倍の効力のある新しい薬剤が届くことになっています」と答えたのです。

この知らせに対し、ライト氏は大いに喜び、再び楽観的な性格を取り戻し、新しい薬剤に対する期待は否が応でも高まりました。

新薬が届いた当日、医者は演技力たっぷりに、「効果が2倍になった新鮮な薬剤」-本当は単なる真水にすぎない-の第1回目の注射を行ったのです。

そして、その「単なる水」の効果は医者にとっても全く信じられないものでした。

。。。続く

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