短期療法の手法例

コミュニケーション理論を基礎にした短期療法のモデルの1つに「What is better?(比較的良いときはあるか?)」がある。

この、「What is better?」は例外的行動パターンの探索を主眼にした会話を導入していくことを意味しています。

そして、「What is better?」に対する会話をするためには、そのための基礎的会話構成を必要とします。

それは、傾聴の仕方にあります。

傾聴のポイントは次の2点です。

1つは、セラピストにとって自我関与度の高い話題やセラピストが過去に体験している話題に出くわすと、セラピストはクライアントの話を聴けなくなってしまうということです。

クライアントの言葉は解決の資源(リソース)を含んでいるものであり、また、解決の方向性について最も詳しいのはクライアント自身であるということからも聴けることは大切です。

もう1つは戦略的傾聴です。

戦略的傾聴とは、クライアントの問題を時間及び空間的に制限することを意味します。

「私、うつなんです」

というクライアントの言葉に対するリフレクションをセラピストは次のように言っていきます。

「最近、”落ち込むことが多い”んですね」

と。

また、

「学校に行きたくない」

という子供には

「学校に行きたくない”ことがある”んだね?」

とリフレクトしていくことで、問題を時間や空間的に制限していくという方法です。

クライアントは問題で頭がいっぱいですから、うまくやっている時や、よりよく過ごせていることに気付いていません。

そこで、こういう戦略的傾聴を行いながら、「What is better?」の質問を導入していくことが必要になるのです。

また、「”比較的”よいときはありますか?」という言葉に見られる、「比較的」という言葉は、問題がある中でも上手くいっている状態やパターンを検索するために便利で有用な言葉です。

コミュニケーション理論の視点における例外とは、例外的行動パターンを意味することになります。

この、例外的行動パターンはすでにクライアントが行っている解決行動であり、そのクライアントの構造にフィットした行動でもあります。

それゆえ、その例外的行動パターンを、「do more」、すなわち、拡張すればよいことになるのです。

これが、表のアプローチです。

しかし、実践上、クライアントがどうしても例外的行動パターンを意識することが出来なかったり、クライアントが解決について話すことに違和感を覚え、どうしても例外が探索できないことがあります。

こうした場合、問題に対する対処行動、すなわち、偽解決的行動パターンを探索し、その行動パターンに「do different/相違を与える介入」を行っていくという裏のアプローチをセラピストが持っていると、クライアントの抵抗に会わずにすむことになります。


コミュニケーションの臨床心理学
若島 孔文 著
北樹出版(2001年)

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